ホワイトハウスは24日(現地時間)、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長に向けた公開書簡を公開した。
書簡の中でトランプ大統領は、首脳会談を取り消した理由について「北朝鮮が直近に発表した声明に込められた激しい怒りと公開的な敵意に基づき、長い間計画してきたこの会談を、いま開催することは不適切だと感じている」と表現した。
また、今回の決定が「世界にとって損失となる」との見方を示すと同時に、「あなたの持つ核能力について話しているが、米国の核能力は非常に巨大で強力なので、決して使われることがないよう、私は神に祈っているほどだ」と、挑発的な言辞を用いた。
一方で、3人の人質を開放した点については「感謝する」と述べつつ、「何よりも重要なこの首脳会談において、あなたが心を変えるのならば、躊躇せず電話かEメールを送って欲しい」と、今後も会談の可能性を閉ざすことは無かった。
だが、「北朝鮮は、持続的な平和と、大きな繁栄と富を得る絶好の機会を失った。この機会を逃したことは、とても悲しい出来事として歴史に残るだろう」とし、あくまでも米国は失うものが無い立場を最後まで崩さなかった。
以下はホワイトハウスが公開した書簡の全文。翻訳者は弊社編集部で行った。

宛先:
閣下
金正恩
国務委員会委員長
朝鮮民主主義人民共和国
平壌
親愛なる委員長へ
双方が長いあいだ望み、シンガポールで6月12日に予定されていた首脳会談に関連し、これまで長い交渉や議論をできたこと、費やされた時間、忍耐、努力に大変感謝している。会談は北朝鮮の要請によるものとの通知があったが、私たちにとってそれは全く関係なかった。私はシンガポールであなたと会うことをとても楽しみにしていた。残念ながら、北朝鮮が直近に発表した声明に込められた激しい怒りと公開的な敵意に基づき、長い間計画してきたこの会談を、いま開催することは不適切だと感じている。この書簡が、シンガポール会談が開催されないという知らせを伝えることを願っている。双方のためのものだが、世界にとっては損失となるだろう。あなたはあなたの持つ核能力について話しているが、米国の核能力は非常に巨大で強力なので、決して使われることがないよう、私は神に祈っているほどだ。
あなたとの間に、素晴らしい対話を構築できていたと感じていた。最終的には対話だけが意味を持っている。いずれの日か、あなたに会うのを楽しみにしている。その間、人質を解放してくれたことに感謝する。彼らは今、家族と一緒に過ごせるようになった。その美しいジェスチャーに、とても感謝している。
何よりも重要なこの首脳会談において、あなたが心を変えるのならば、躊躇せず電話か手紙を送って欲しい。全世界、そして特に北朝鮮は、持続的な平和と、大きな繁栄と富を得る絶好の機会を失った。この機会を逃したことは、とても悲しい出来事として歴史に残るだろう。
差出人:
ドナルド・J・トランプ
アメリカ合衆国大統領