
「2年5か月ぶりに公開」
南北は今月1日、板門店の南側施設「平和の家」で南北高官級会談を開き、南北の政府当局者が常駐する南北共同連絡事務所を開城工業地区内に開設することで合意した。
開城工団は2年以上も韓国側に公開されていない。16年1月6日、北朝鮮が4度目の核実験を実行した上、2月7日に長距離ミサイルの発射実験を行ったことを受け、韓国政府が2月10日に稼働中止を発表。その翌日に北朝鮮側が「南側の人員を全員追放し、軍事統制区域として管理する」と通告し、そのまま閉鎖された。
開城工団の入居企業たちは、北側の突然の通報で、完成品もろくに持ち出せないまま、追い出されるように撤収した。過去2年間、開城工団の物資が搬出され、一部の施設が可動しているという情報が北朝鮮から漏れてくるたび、5度にわたり入居企業が訪問申請を行ってきたが、韓国政府は「保留」の立場を示してきた。
しかし今回の南北高官級会談の結果、長きにわたり閉ざされてきた開城工団の姿が、公開されることとなった。韓国政府は今月15日以前に、施設の状態を点検するために事前点検団を派遣する計画だ。
この点検団は、事務所設置の準備作業に向け現場を点検し、今後、韓国側が連絡事務所建設の工事現場に常駐する問題などを協議するための、「臨時連絡事務所」を開設する見通しだ。
開城工団総合支援センター、南北交流協力事務所、職員の宿泊施設など既存の施設が、臨時連絡事務所の候補として挙げられている。
「再稼働」には慎重な構え
韓国統一部の白泰鉉(ペク・テヒョン)報道官は4日の定例会見で、共同連絡事務所の役割について「南北交流協力を北側地域で支援することになる。南北関係の安定的な発展における画期的な措置になることを期待している」と明かした。同事務所が今後、南北間の交流協力を進める際の前哨基地の役割を果たすという見方だ。
過去、05年10月から10年5月まで、南北の当局者と民間関係者が常駐する共同連絡事務所が開城に設置されたことはあったが、この施設は経済協力だけを扱うものだった。
ただ、開城工業団地の再稼働については当分、南北間で話し合われない見通しだ。韓国政府は「北朝鮮の核問題や南北関係、国際的な情勢を考慮し」検討するという従前の姿勢を崩していない。
今月12日の米朝首脳会談の結果や、その後続措置がどう実施されるかが同工団の再開に大きく関わってくるものと見られる。
(ソウル=ニューシス、編集・翻訳:本紙編集部)