「中国人嫌悪でなく人類愛と連帯を」 国家人権委員会委員長が声明
「中国人嫌悪でなく人類愛と連帯を」 国家人権委員会委員長が声明
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.03.07 17:29
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ネット上で相次ぐ中国人ヘイトに対し、韓国の国家人権委員会が委員長名義の声明を発表し特定の集団への差別と排除を行うべきでないと主張した。

韓国の国家機関・国家人権委員会の崔永愛(チェ・ヨンエ)委員長は2月5日に発表した声明で、新型コロナウイルスの拡散を受け韓国内に広がる中国人や中国同胞(朝鮮族)への嫌悪(ヘイト)意識や嫌悪表現を止めるよう訴えた。

国家人権委員会は金大中(キム・デジュン)政権下の2001年に発足した。「人権の保護と向上」をその目的とし、「立法・司法・行政という3部のどこに所属しない国家機構として、誰の干渉や指揮も受けず国家人権委員会法により定められた業務を独自に遂行する独立機構」として存在している。

2019年の予算は366億8600万ウォン(約33億円)。224人の職員がいる。

以下はその声明の全文訳。出展は国家人権委員会ホームページ。

国家人権委員会の崔永愛委員長。写真は同委員会HPより引用。
国家人権委員会の崔永愛委員長。写真は同委員会HPより引用。

 

崔永愛人権委員長「嫌悪でない、人類愛と連帯で社会的な災難に対処すべき」
ー新型コロナウイルス感染症拡散に関する国家人権委員長声明ー

韓国をはじめとする世界各国で、新型コロナウイルス確診患者(感染者)が続々と発生し、感染症拡散に対する憂慮が広がっています。

国家人権委員会(委員長・崔永愛)は感染症の拡散を防ぐために各自の領域で渾身の努力を行っている関係者の皆さんに深い感謝の意を表します。それと共に弱者の保護や人道支援に乗り出すなど成熟した包容力を見せている国民の皆さんに尊敬の心を伝え、私たち皆が安全にこの事態を乗り越えていくことを願います。

しかし、残念なことに新型コロナウイルスの拡散に対する市民たちの不安と恐れが拡散する過程で、SNSをはじめとするオンラインに、中国人または中国同胞についての嫌悪を助長し煽る書き込みが、絶え間なく行われています。

感染症の発源地が中国・武漢という理由で、中国の食文化を非難し政治文化についての偏見をさらけ出し、疾病の温床であると後ろ指を指しています。道行く中国人に「帰れ」と怒鳴り、中国人のレストランへの出入りを禁止し、ウイルスに感染した中国人が無料で診療を受けるために大挙として入国するという根拠のない虚偽情報も出回っています。

嫌悪は特定の集団を病的で劣った存在としてレッテルを貼る、否定的な観念と偏見に基づいており、差別を助長する効果があります。特に、感染症に対する恐怖と国民たちの不安な心を特定集団の責任に転嫁する嫌悪表現は、今起きている事態に対する合理的な対処を遅らせるばかりでなく、社会的な葛藤を深め、対象となる集団に対する差別を正当化したり憎悪を扇動する方向に進む可能性があり、憂慮しています。

新型コロナウイルスが全世界に拡散する中で、イタリアなど一部の国では韓国人を含む東洋人学生による授業の出席を禁止し、アジア人を侮辱する出来事が頻繁に起きているように、私たちも別の空間では嫌悪の対象となっているのです。

こんな社会的な災難が起きているとき、言論(メディア)の役割はとても重要です。去る1月16日、メディアに従事する者たちは国家人権委員会と共に、嫌悪表現に反対する宣言をしながら、特に「災難、伝染病などが発生した場合、嫌悪表現が多く生まれる点を理解し、人権の側面からより綿密にチェックし伝える」と決意しました。

確診患者が多くなるにつれ嫌悪表現が拡散する状況の中で、中国人と中国同胞に対する嫌悪を自制すべきという声もまた、高まっています。嫌悪表現に対する自浄と自制を求める発言は、私たちの社会が沈黙を超えて、嫌悪問題に対応する準備ができていることを見せるものと言えるでしょう。

特定の集団に対する差別と排除ではない、人類愛と連帯でこの困難な時期を共に乗り越えていけるよう願います。

国家人権委員愛は私たちの社会のすべての構成員たちが、嫌悪と差別から自由な社会、各自の尊厳を尊重され生きていける社会のために努力します。

2020年2月5日
国家人権委員会委員長 崔永愛