韓国統一部の来年度予算案が公開…脱北民支援やコロナ支援、統一教育を重視
韓国統一部の来年度予算案が公開…脱北民支援やコロナ支援、統一教育を重視
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.09.04 19:37
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韓国政府が今月1日、国務会議を開催し来年度予算案を確定した。20年より8.5%増額した総額555兆8000億ウォン(約49兆6000億円)だった。その詳細のうち、まずは統一部予算案の中身を覗いてみた。

韓国の統一部とは、北朝鮮との対話をはじめ、経済協力や人道支援、北朝鮮国内の人権問題改善、韓国内の脱北者の管理・支援など、北朝鮮に関わるあらゆる業務を行う部署だ。その21年度の予算案は、1兆4607億ウォン(約1303億円)で20年度よりも2.5%の増額となっている。内訳は一般会計2174億ウォン(約194億円、プラス1.5%)、南北交流基金1兆2433億ウォン(約1109億円、プラス3.1%)とのことだ。

統一部の李仁栄(イ・イニョン)長官。統一部提供。
統一部の李仁栄(イ・イニョン)長官。統一部提供。

●事業費を含む一般会計

一般会計のうち、事業費は1535億ウォン(約136億円、マイナス1.8%)。他は人件費として543億ウォン(約48億円)などがある。

事業費の主要な内訳を見ると、北韓離脱住民(脱北民)の定着支援予算が976億ウォン(約87億円、マイナス5.6%)で全体の63.6%を占める。

次に統一教育181億ウォン(約16億円、プラス2.8%)、離散家族や人権問題など人道的問題の解決に48億ウォン(約4.3億円、マイナス10.2%)、南北会談33億ウォン(約3億円、プラス3.5%)、情勢分析29億ウォン(約2.6億円、マイナス9.6%)の順で続く。

統一部は1日に発表した資料の中で、21年度の事業費予算の目的として「韓半島(朝鮮半島)平和統一推進についての国民参加と共感を拡散し」、「南北住民が健康で安全に良く暮らすための韓半島平和・経済・生命共同体の基盤を造成すること」を重点に置いたと説明している。

また「『分権と協治』に基づき、自治体・民間の参加を促進し、多様な大衆的な平和・統一運動を活性化することに重点を置く」とした

このために、地域別に段階的な平和統一のインフラ構築の一環として位置づける「統一+(プラス)センター」の設置を広げるとした。このセンターでは、▲南北交流協力の相談・支援、▲市民の疎通、▲北朝鮮資料の提供、▲統一教育プログラムなどを支援するという。予算もこれに合わせ20年の4.5億ウォン(約4000万円)から33.8億(約3億円)ウォンに増額。仁川市に加え、湖南(全羅南北道、光州市)でセンターを運営する。

さらに、市民が分断の歴史と現実を体感するための『平和の道、統一ウォーク』事業予算を新規に10億ウォン編成した。

最も割合の大きい予算部分については、北韓離脱住民(脱北民)の自立および安定的な社会統合を支援するために、政府の支援を強める方針を強めた。

脱北民地域協議会を現状の118カ所から134カ所に増やし、地域適応センターの行政人事において、現在の半日制から全日制に強化するという。また、脱北民への直接支援も増やすとした。中国などの第三国で生まれた北朝鮮と縁故のある脱北民への加算金を増やし、就業奨励金、高齢加算金、一人親加算金などをそれぞれ増額する。

●南北交流基金はコロナ支援増額

一方の南北交流基金について、統一部は「感染病や気候変化など環境変化を考慮し、南北住民の生命と安全を増進するための多様な協力分野を発掘・推進することに重点を置く」とした。

これに合わせ、洪水予防が20年の6億ウォン(約5400万円)から65億ウォン(約5億8000万円)に、新型コロナなど保健医療分野での協力が同585億ウォン(約52億円)から955億ウォン(約85億円)に、農畜産・山林・環境協力が同3045億ウォン(約272億円)から3295億ウォ(約294億円)へと増額された。

さらに、「南北首脳間の合意履行を先制してけん引するため」にDMZ(非武装地帯、南北軍事境界線から2キロの部分)の平和地帯化など韓国独自で推進可能な事業の予算も増やした。

具体的にはかつて安全保障意識を高めるために活用されていた南北接境地域の見学地に、「平和統一文化空間」を造成する予算32.7億ウォン(約2億9000万円)を編成した。

一方、減額された項目を見ると、南北協力基金の中では離散家族交流支援が25.1%減の210億ウォン(約18億7000万円)となっていた。これは予想再開回数を従来の8回から4回に減らしたためとしている。

さらに、北朝鮮への救護支援も16.1%減の1188億ウォン(約106億円)となっているが、これはコメ支援の予想分量を20万トンから15万トンに減らしたためだ。

なお、南北交流基金の金額は多いものの、あくまで予算に過ぎない。南北の全面的な行き来ができないことや、国連安保理や各国による経済制裁のためだ。実際の執行率は18年は約22%、19年には約20%にとどまっている。

 


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