[全訳]李洛淵・共に民主党代表による国会交渉団体代表演説(2020年9月7日)
[全訳]李洛淵・共に民主党代表による国会交渉団体代表演説(2020年9月7日)
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.09.08 00:05
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韓国では9月から通常国会がスタートした。それに合わせ、与党の李洛淵(イ・ナギョン)代表が代表演説を行った。「福祉国家を超えた幸福国家」を掲げ、福祉の拡大はもちろん、格差の縮小やグリーン産業の育成などを掲げる非常に進歩的な内容だった。

韓国では9月から通常国会がスタートした。それに合わせ、与党の李洛淵(イ・ナギョン)代表が代表演説を行った。同代表は、2022年3月に行われる次期大統領選挙候補の支持度1位を維持し続ける「ポスト文在寅」の最有力だ。

政治家として、事実上、国政全般に対する自身のビジョンを述べる初めての場となったが、その内容は「福祉国家を超えた幸福国家」を掲げ、福祉の拡大はもちろん、格差の縮小や性平等、グリーン産業の育成などを正面に掲げる非常にリベラルなものだった。また、コロナ以降に訪れる時代の大転換に向けた計画も語られるなど盛りだくさんだった。

40分に及ぶとても長い演説だったが、その内容を全訳する。どこまで実現できるかは未知数だが、今後の韓国の一つの指針となる重要な内容といえる。

9月7日、国会で代表演説を行った共に民主党の李洛淵代表。バナーは同党HPより引用。
9月7日、国会で代表演説を行った共に民主党の李洛淵代表。バナーは同党HPより引用。

[全訳]李洛淵・共に民主党代表による国会交渉団体代表演説(2020年9月7日)

国民と共にコロナを越えて

まず、コロナ19で亡くなった全ての方の冥福を祈ります。
愛する家族を亡くした遺家族の方々に慰労の言葉を伝えます。
治療中または自宅隔離中の方々に激励の言葉を捧げます。
コロナで生業の危機にある方々に慰労の想いを捧げます。

水害と台風で命を無くした全ての方々の冥福を祈ります。
遺家族の方々に慰労の言葉を捧げます。
生活の基盤を無くした農畜水産業の方々など罹災民の方々に慰労の言葉を送ります。

今日、台風が再び来ています。心配です。
政府と地方自治体は細心な備えをしてくれるようお願いします。

尊敬する国民の皆さん、海外同胞も皆さん!
朴炳錫(パク・ピョンソク)国会議長と先輩同僚議員の皆さん!
丁世均(チョン・セギュン)国務総理と国務委員の皆さん!
共に民主党代表、李洛淵です。

1.すべてのものが元に戻るだろうか

「世の中の風景の中で最も美しい風景
すべてのものが元に戻る風景」

そんな一節がソウル光化門十字路の建物にかかっています。
すべてのことが元通りになるのが皆の想いとなりました。

戦争は生命だけ奪っていくのではありません。
人々の日常も丸ごと奪っていきます。
コロナ19(新型コロナウイルスの韓国での呼称)との戦争も同様です。

いい人とコーヒー一杯を挟んで話すことも簡単ではありません。
友だちとチキンとビールで騒ぐことも気を付けなければなりません。
銭湯につかることも、チムジルバンで寝そべることもためらわれます。
家族との外食も、週末の旅行も遠い昔の思い出のように感じられます。

私たちは気づきました。
ささいな日常がどれだけ幸福だったのかということを知りました。
お茶を一口飲もうとマスクを下げるその瞬間、
かけがえのない人がマスクを取った顔を偶然に見るその瞬間、
それが幸せということを知りました。

私たちはそんな日常を回復させられるでしょうか?
私たちはコロナ以前に戻れるでしょうか?

2.パンデミック…模範国家、私たちは勝利する

世の中がこのように無残に変わったのは、昨年12月31日のことでした。
世界保健機構(WHO)中国地域事務所に報告が届きました。
「武漢で発生した新たなウイルス性肺炎の事例」
コロナ19はそうやって始まりました。

その恐ろしい伝染病はあっという間に世界を襲いました。
9月6日午後6時現在、確診者2700万人、死者88万5000人。
未曾有の恐怖がすべての国を覆いました。

今年1月20日、コロナ19が韓国にも浸透しました。
昨日午後6時基準、確診者2万1000人、死者334人。

韓国の対処は困難でしたが立派でした。
世界は韓国を「模範国家」と呼びました。
私たちの診断キットを輸入した国が100か国を超えました。
世界の主要国家が私たちの’ドライブスルー’を見本としました。

韓国は防疫をしっかりしながらも、経済の萎縮からうまく身を守りました。
8月初頭、OECDは韓国の今年の経済成長率をマイナス0.8%と予測しました。
OECD37か国の中で、最も良い展望でした。

そんな成績は国民の積極的な支持のおかげでした。
私たちの国民はマスク着用も、社会的距離の確保も共に行ってくれました。
「模範国家」は国民の参加を通じた達成でした。
誇らしい国民です。
国民の皆さんに感謝します。

また、医療陣の献身と専門性が大きく寄与しました。
韓国の医療陣が一日に防護服とマスクを着用する時間は世界で最も長いです。
猛暑と防護服を着たまま少しのあいだ休みをとる医療陣の姿は感動です。
ぶれることなく、親切な疾病管理本部の説明は信頼の象徴となりました。
医療陣と防疫当局の皆さんの労苦に感謝いたします。

そうやって積み上げてきた、防疫の金字塔に傷が生まれました。
8月15日の光化門での集会を通じコロナ19が再び拡散しました。
その後、国民は厳しい社会的距離の確保に耐えています。
最近は確診者の増加は峠を越えました。
しかし油断はできません。

防疫を馬鹿にし、拒否する勢力がいます。
光復節に続き、開天節(10月3日)にも同じような集会を開こうとする勢力がいます。
国民の生命よりも優先すべきものはありません。
国民の生命を脅かす違法な行動は、どんな理由であろうとも認めることはできません。
法に従って応酬し遮断しなければなりません。

私たちはどんな国難も克服し、力強く生きてきました。
私たちは植民の搾取も、戦争の廃墟も勝ち抜いてきました。
私たちはコロナとの戦争でも勝つでしょう。
国民の皆さんと共に、この戦争を勝利に導きます。
国民の皆さんが変わることなく共に臨んでくれることを願います。

3.押しつぶされた民生、より困難な国民を先に救わねば

尊敬する国民の皆さん、
議員の皆さん!

「苦しいです。苦しいです。苦しいです」と書いた紙を貼っている店があります。
日にスンデクッ2杯だけを売ったという食堂があります。
借金をして開業したインターネットカフェを一か月のあいだ開けない青年がいます。
このままでは廃業を考えると、小商工人10人のうち7人が話しています。

今すぐ飛んでいき、慰労の言葉でもおかけしたいです。
しかし伝染病はそれすらもさせません。
もどかしく、残念です。
罪を負ったかのように申し訳ない想いばかりです。

世の中がそうであるように、災難も弱者を先に攻撃します。
災難の苦痛は弱者により過酷です。
ウイルスは人を区別しません。
しかし、その苦痛は平等ではありません。

雇用脆弱階層、所得脆弱階層は生計が危ういです。
自営業者、小商工人、中小企業は毎日が大変です。
特に飲食店、コーヒーショップ、塾、銭湯、インターネットカフェなど対面の比重が大きい業種は、社会的距離の確保の直撃を受けました。
子育てする父母は、毎日途方に暮れています。

コロナ再拡散は第三四半期の景気反騰の期待をへし折っています。
韓国銀行は今年の成長率の展望をマイナス0.2%からマイナス1.3%へと下げました。
最悪の場合、マイナス2.2%まで墜落すると予測しました。
生産、消費、雇用のすべての分野で危機感が増幅しています。

苦痛をより大きく感じる国民を先に支援すべきです。
それが連帯であり、公正を実現する道です。
同時にどの国民も不当な不利益を受けないようにしなければなりません。
死角となる地帯があってはいけません。

そうした観点から政府は今年四度目の追加更正予算を編成しています。苦しい国民の方々が秋夕の前に支援を受けられるようにすべきです。
国会にもうすぐ提出される追加更正予算の迅速な処理を与野党の議員の皆さんにお願いします。
追加更正予算の審議過程で、議員の方々の合理的な意見は喜んで受け入れます。
これからも共に民主党は国民の生活の様子をうかがい、守っていきます。

4.コロナ以降、大転換の未来のために

尊敬する国民の皆さん、
議員の方々、

「M」をご存じですか?
マスク世代、最近のこどもたちをM世代と呼ぶそうです。
子どもたちは家で、オンラインで勉強します。
たまに学校に行っても対話が禁止されています。
親友に出会うことも、友だちの輪を広げるのも難しいです。

キッズカフェ、保育園、幼稚園、小学校、中学高校、どこも似たようなものです。
大学の新入生もキャンパスの空気を感じることができません。
M世代は両親の昔話を信じられないでしょう。

そんなM世代の未来には、どんな世の中が待っているでしょうか?
人々は大転換がすでに始まっていると話します。
開発と成長、競争と効率が重視されていた時代が過ぎ去り、
生命と平和、包容と共存が重視される時代が来ているというものです。

私もそう考えます。
そんな未来を準備しなければなりません。

しかし大転換はなだらかに展開しないでしょう。
それは成就と共に傷も残します。
成就は支援し、傷は予防しなければなりません。

大転換は勝者と敗者を生みます。
韓国が世界の勝者となるよう準備しなければなりません。
国内では敗者が復活できるよう支えて差し上げなければなりません。
そのために必ず必要ないくつかを申し上げます。

一つめは健康安全網(健康セーフティ・ネット)です。

教皇フランチェスコはおっしゃいました。
「神は常に許す。
人間はたまに許す。
自然は決して許さない。」

コロナのような感染病は、自然による応酬という解釈があります。
環境破壊と気候変化によるというものです。
最近になって人類は、新たな感染病に続けざまに悩まされました。
私たちもSARS、新型インフルエンザ、MERSの攻撃を受けました。
コロナが克服されても、感染病はより頻繁に、より厳しくやってくるかもしれません。

それに備えなければなりません。
感染病専門病院の圏域ごとの設置を急がなければなりません。
公共医療体系の強化なども長い懸案として残ったままです。
コロナが落ち着いた以降、協議体を作りふたたび議論します。
今は医療界と力を合わせ、コロナの安定化に集中します。

産業の安全は昨日今日の課題ではありません。
しかし毎年2000人の労働者が産業の現場で犠牲となっています。
まったくもって理解できず、受け入れられるものではありません。

そんな不幸をこれからは防がなければなりません。
「生命安全基本法」「重大災害企業処罰法」の制定がその始まりです。
これらの法案が早く処理されるよう、所管の常任委員会が努力してくれるよう望みます。

二つ目は社会安全網(社会セーフティ・ネット)です。

災難がそうであるように、変化も弱者をより攻撃します。
弱者であるほど、変化に適応する準備が不足します。
このため変化は大抵、格差を広げます。

韓国の所得両極化はOECDでは最も悪い側に属します。
上位10%が全体の所得の43.3%を占めています。
上位1%に全体の所得の12.2%が入っていきます。
反対に国民の17.4%は中位所得(平均)の50%以下で生きています。
私たちの貧困率はOECDでは米国、イスラエルの次に高いです。

両極化は共同体の持続可能性に対する信念を揺るがす可能性があります。
私たちはIMF通貨危機で両極化が深まりました。
コロナは両極化をさらに広げるでしょう。
コロナの事態が長引くほど、そうなるでしょう。
全ての階層の所得を上げながら格差は緩和していく方案を探します。

最上の福祉は雇用です。
しかし雇用がまず脅かされています。
雇用危機の拡散を防がなければなりません。
そのためには、全国民雇用保険を至急に施行しなければなりません。

芸術家、特殊形態勤労従事者から雇用保険を拡大施行しようとします。
続いて、プラットフォーム労働者とフリーランサーなどに拡大します。
また、来年はじまる国民就業支援制度を早期に定着させます。

必要ならば誰でも生計給与を受け取れる国に向かうべきです。
基礎生活保障制など様々な社会安全網を至急に拡充します。
保育と教育に対する国家の責任を強化します。
特に「前日保育責任体系」を早期に構築します。

私たちは IMF通貨危機の中で、基礎生活保障制度を始めました。
今や私たちはより多くのことをできると信じます。

三つ目は韓国版ニューディールと新産業です。

大転換は新たな秩序、新たな基準を人類に強要するでしょう。
新たな経済、新たな産業を出現させるでしょう。

そんな変化に前もって備え、大転換を先導しなければなりません。
そのための土台であり呼び水が韓国版ニューディールです。

私たちはIMF通貨危機の時に、IT強国を準備しました。
今回は、私たちはコロナ危機のなかでポスト・コロナを準備します。
デジタル・ニューディールと、グリーン・ニューディールはコロナ以降のデジタル強国、グリーン強国に向けた準備です。

デジタルへの転換は選択の余地がない流れです。
デジタル・ニューディールは私たちのデジタルへの転換を大きく前倒しにすることでしょう。

全国の図書館、博物館、美術館などをつなぐ「デジタル集賢殿」を建てます。
「スマート工場」と「スマート商店」により既存の産業の生存力を高めていきます。
データ取引所の設置、データ・ガバナンスの構築を急ぎます。
そうやって私たちがデジタル技術における標準国家として跳躍できるようにします。

緑色(グリーン)への転換も選択の余地がありません。
歴史上、新たな先導国家は新しく効率的なエネルギーを先制して商用化した国でした。
モンゴルは「馬」、オランダは「風」、英国とドイツは「石炭」、米国は「石油」などで覇権国となりました。

これからはクリーン・エネルギーです。
クリーン・エネルギーから私たちが先導国家に発展しなければなりません。

コロナ危機と気候危機は、低炭素経済の重要性を呼び覚ましてくれました。
すでに世界には温室ガス減縮とグリーン産業の発展がいち早く行われています。
国際社会は環境規制を強化しています。
そんな流れに呼応してこそ産業競争力と雇用を維持することができます。

私たちは国際的な環境規制に積極的に呼応していきます。
未来の自動車と分散型のグリーン・エネルギーを広げていきます。
グリーンな金融とグリーン産業の生態系を構築します。

韓国版ニューディールと並行し、私はバイオヘルス産業に注目します。
それができる国際的な要件と私たちの力量が備わっています。
特に「K-防疫」は韓国バイオヘルスの信頼を高めました。

IMF通貨危機の中で育てたIT産業は、その後の私たちの経済を支える孝行な子(稼ぎ頭)となりました。
今はコロナ危機の中でバイオヘルス産業を育てれば未来の経済におけるもう一つの孝行な子となると確信します。

来年の予算案は21兆3000億ウォン(約1兆9000億円)のニューディール事業計画を反映しています。
デジタル・ニューディールの7兆9000億ウォン(約7000億円)、グリーン・ニューディールの8兆ウォン(約7100億円)、安全網の強化と人への投資5兆4000億ウォン(約4900億円)です。
それにより、36万の雇用を創出します。

四つ目は性平等です。

高位公職者と地方政治において女性の進出が顕著に増えています。
喜ばしいことですが、充分ではありません。
私たちの社会の女性を抑圧する構造は今なお頑強です。
女性を抑圧する構造を解体していきます。

各種の性犯罪にも断固と対処します。
私たちの党に所属する公職者の問題について、被害者と国民の皆さんに重ねてお詫びします。
そうした事がふたたび無いよう、内部の監察と性認知教育を強化します。
被害者保護のための制度的な装置も早急に補強します。

女性が公正に競争し、能力の分だけ成就することができる職場を作ります。
男女の賃金格差が今なお31%になります。
その格差を段階的に縮小させていきます。

「ガラスの天井」も早く無くしていきます。
公共機関の女性役員の比率を義務化します。
民間企業と機関も、女性役員を増やすおうインセンティブを通じ誘導します。

不平等は日常に様々な形で隠れています。
見知らぬ人に会う時は心配になり、家事労働と家族介護の荷は重いです。
女性のそんな心配と荷を減らせるよう関心を傾けます。

そんな全ての努力が対決の葛藤の枠組みに落ち込んではいけません。
そうならないよう、細心の注意を払います。

五つ目は均衡発展です。

首都圏の面積は国土の12%に過ぎません。
その首都圏に住む住民が今年はじめて全体の人口の半分を超えました。
1000大企業の本社の75%が首都圏にあります。

首都圏は肥満を病んでいます。
過密は首都圏住民の生活の質を悪化させています。

反面、大部分の地方は経済の衰退と人口減少にあえいでいます。
地方消滅は理論ではなく現実として近づいています。

地域の不均衡は国民すべての幸福を阻害します。
国家の発展力量も損ないます。
均衡発展はこれ以上、先延ばしにできません。

最も象徴的で効果的な代案として行政首都の移転が提案されました。
国会内の均衡発展特別委員会が早急に稼働しこの問題を決定してくれることを望みます。
首都は依然としてソウルです。
ソウルは快適で品格ある国際都市として、より発展させていきます。
また、第二段階の公共機関の移転と、革新都市の追加指定を迅速に推進します。

私は韓国版ニューディールにおける必須の概念として、均衡発展のニューディールを提案したことがあります。
デジタル・ニューディールとグリーン・ニューディールの事業選定と予算配分が均衡発展に寄与するよう、地方をより配慮しようというものです。
そうなるよう、政府に重ねて要請します。

5.未来は革新と決断にかかっている

尊敬する国民の皆さん、
先輩、同僚の議員の皆さん

大転換は選択ではありません。
私たちの選択は大転換の時代をどうやって生き延びるのか、それだけです。

大転換の時代をかきわけていくためには、私たちみずからが大転換しなければなりません。
革新しなければなりません。
革新するためには決断が必要です。
大転換は私たちの決断を要求します。

韓国版ニューディールの成功にも、新産業の育成にも革新が必要です。
一方で支援し、もう一方で規制を革破しなければなりません。
今回の定期国会で与野党が決断しましょう。

安全網の拡充にも、性平等にも、均衡発展にも決断が必要です。
政策と財政の選択から私たちが決断しなければなりません。
今回の定期国会で決断してくれることを議員の皆さんに訴えます。

権力機関の改革も革新の重要な課題に属します。
高位公職者犯罪捜査処、公捜処の設置は、権力機関の改革の核心です。
長いあいだ先延ばしになっていた公捜処設置の根拠法が前回の国会で作られました。

その法による公捜処の設置がずるずると遅延しています。
法に従い公捜処が設置され稼働することを望みます。

国会で通過した法について、私は賛成しなかったという理由で守らないならば、それは議会民主主義の自己否定になります。
それは満場一致で通過した法だけを守ればよいという危険な信号になるでしょう。

それ以外にも、遅れている改革立法を今回の会期に完遂することを要請します。
権力機関の改革は民主主義の進展と大韓民国の成熟に必ず必要な課題です。
改革立法を政治的な得失で眺める態度からして改革されるべきです。

6.’ubuntu’、あなたがいるから私がいる

ある人類学者のアフリカ経験を紹介します。

学者が子どもたちにかけっこの試合をさせました。
子どもたちが好きな食べ物をカゴいっぱいに入れて、
かけっこで一番になった子どもがその食べ物をすべて食べられるとしました。

スタートと叫ぶと驚きの光景が広がりました。
子どもたちは互いの手をつないで一列に走りました。
みな一位でゴールしました。
そして皆で集まり食べ物を分け合いました。

学者は不思議でした。
「一人で一位になれば全部食べられるのに、なぜ皆でゴールしたのか?」と聞きました。
子どもたちはすがすがしく笑いながら「ubuntu!」と叫びました。

「ウブントゥ(ubuntu)」
あなたがいるから私がいる。
アフリカのバントゥ族の言葉です。

あなたがいるから私がいる、
「ウブントゥ」の精神で私たちは「K-防疫」を成し遂げました。
それが初めてではありませんでした。
「ウブントゥ」の心で私たちは戦争と貧困を乗り越えて立ち上がりました。
産業化と民主化を達成しました。
IMF通貨危機も、グローバル金融危機にも勝ち抜きました。

そんな連帯と協力によって、私たちは今の国難も克服するでしょう。
私の家族、私たちの隣人と過ごした日常の平和も取り戻すでしょう。
コロナ以降の時代も成功的に準備するでしょう。

「ウブントゥ」
私の安全は隣人の安全にかかっています。
私の幸福は隣人の幸福にかかっています。
あなたがいるから私がいます。
コロナのもう一つの教訓です。

7.連帯と協力、ウィンーウィンーウィンの政治へと

尊敬する国民の皆さん、
議員の皆さん!

私たち国民は危機の前で連帯し協力してきました。
国民のそんな危険と底力は私たちの誇らしい資産です。

政治はどうでしょうか?
国家的な危機の前で、政治も連帯して協力しますか?
ウブントゥ、あなたがいるから私もいると、私たちの政治も信じていますか?

そう言うのは難しいです。
国家的な危機、国民的な苦痛の前でも政治はほとんど変わりませんでした。
相手に一杯くわせるのが政治のように映っていました。

前例のない国難にも政治が変わらないのならば、どんな希望があるでしょうか?
これからは変わりましょう。
国難を切り抜けていく間だけでも、政争を中断し統合の政治を実践しましょう。
国民と与野党に共に利益になるウィンーウィンーウィンの政治を始めましょう。
私から努力します。

事実上、中断している与野党・政府の定例対話をふたたび始めることを提案します。
コロナ危機の克服と、大韓民国の進む先に対する最小限の政治的な合意をしましょう。
例えば、産業化と民主化のための互いの寄与を認め、未来を共に準備する「21世紀の新たな前進に向けた大合意」です。
大合意にはコロナ克服のための共同努力、包容的な福祉、デジタル転換、気候危機の克服、韓半島(朝鮮半島)の平和、民主主義の完成などを込められるでしょう。

与野党の似たような政策を、今回の会期の間に共同立法することを提案します。
感染病専門病院の拡充、ベンチャー企業の支援、女性の安全といった4.15総選挙における共同公約がそれに属します。
経済民主化の実現、青年の政治参加の拡大、再生エネルギーの拡大など共通する政綱政策も共に立法しましょう。

政治において競争は避けられません。
しかし競争も政治的な争いを避け、政策競争と協治として発展させることができます。
政策の協治を通じ、政務協治に向けて拡大していけます。
そうすることを、与野党に呼びかけます。

私は「原則のある協治」を約束したことがあります。
私は誰も「反対のための反対」はしないだろうと信じたいです。
それでも万一、「反対のための反対」があるならば、断固と拒否します。
そうしない限り、対話で解けない問題はないと私は信じます。

8.私が夢見る大韓民国、共に良く暮らす一流国家

大韓民国はいくつかの分野ですでに世界の一流国家に上り詰めました。
家電製品、半導体、自動車、造船、ITがそうです。
その後ろを大衆音楽と映画、ウェブトゥーンとゲーム産業が続いています。
そういった分野で私たちは追撃国家から先導国家へと変貌しました。

3年前に私たちはろうそくで民主共和国を守りました。
今年は「K-防疫」を世界標準に押し上げました。
コロナの危機の中でもとても高い投票率で総選挙を安全に行いました。

これから私たちは別の分野でも一流国家、先導国家に跳躍しなければなりません。
私はそれが充分に可能だと信じます。
韓国版ニューディールで基盤が作られるであろうデジタル転換とグリーン産業がそこに含まれます。
K防疫で世界の信頼が高まったバイオヘルス産業も有望です。

昨日で見る国家の発展段階があります。
夜警国家から福祉国家へ、福祉国家から幸福国家へと発展します。
福祉国家はすべての国民の最低生活を保障する国家です。
幸福国家は健康、安全、文化、余暇など国民の幸福を保障する国家です。
福祉国家は幸福国家を含むことができません。
幸福国家は福祉国家を含まなければなりません。

私たちは福祉国家から幸福国家に移り行く段階にあります。
私たちは福祉国家をまだ完成できていません。
しかし国民の要求は福祉国家を超えています。
私たちは幸福国家に進入しました。
しかし国民の要求には大きく足りません。

私が夢見る大韓民国は「共に良く暮らす一流国家」です。
そうなるよう、私のすべてを捧げ努力します。
国民の皆さんと共に作っていく私たちの未来はこの通りです。

一つ目は良く暮らす国、幸福国家です。

経済は革新成長を中心に成長を続けなければなりません。
成長は重要ですが、成長の質はより重要です。
国民の健康と安全と生命を最優先に守ります。
すべての国民の方々が快適な日常を享受できるようにいたします。
特に文化、芸術、生活体育を誰もが気楽に楽しめるようにします。

二つ目は共に暮らす国、包容国家です。

包容国家に向かうよう、福祉をより多く満たしていきます。
全国民雇用保険など、社会安全網を早くに拡充します。
すべての階層の所得を増やし、格差を緩和します。
性平等と均衡発展を実現します。
国民の統合を成し遂げます。

三つ目は創業しやすい国、創業国家です。

創業しやすい国を作ります。
失敗しても何度でもまた挑戦できる国に変えていきます。
失敗が逆に社会的な資産になる国に発展させます。
昨年には歴代最高のベンチャー投資が成し遂げられました。
第2のベンチャーブームが、第3,第4のベンチャーブームにつながるようにします。

四つ目は世界に貢献する国、貢献国家です。

コロナ危機は韓国を貢献国家として世界に認識させました。
韓国はG20の構成員でありながら、国際社会の中堅国家です。
今後、韓国の位相はさらに高くなり、役割はさらに大きくなるでしょう。
韓国がそう発展するように、すべての分野が共に努力することを望みます。
特に、すべての隣国と善隣で交流し、協力することを望みます。

9.希望、より良い世の中に

尊敬する国民の皆さん、
与野党の議員の皆さん!

14世紀ヨーロッパのペストはルネサンスと近代国家を開きました。
1920年のスペイン風邪は医学と科学を発展させました。
このように大災害は人類の歴史を大きく転換させることがあります。
コロナ危機は真の21世紀を開くでしょう。

まずはコロナとの戦争で勝利し、国民の生活を守ります。
その仕事に与野党が国民と心を合わせ尽力するよう先頭に立ちます。

同時にコロナ以降を前もって忠実に準備します。
大韓民国が内にはともに幸福な国、外には平和を成し遂げ人類に貢献する国として発展するよう努力します。
その道も与野党が国民と共に進んでいけると私は信じます。

希望は得るものではなく、行動で作るものです。
大転換を切り抜けていくには、私たちが行動で希望を作らなければなりません。
国民の連帯と協力が、ウィンーウィンーウィンの政治が希望を作ることができます。

遠からず、私たちは新たな世の中に出会うでしょう。
その未来が今よりもより良い世の中になると私は確信します。
そんな未来を作ります。
その道を共に行きましょう。

傾聴していただきありがとうございます。
 


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