韓国の日刊紙『国民日報』は8日、「コロナブルー、もう一つの災難」という特集の第一弾として、「ただ事ではないコロナブルー、”首都圏の20、30代女性に極端な選択が急増”」という記事を配信した。
元記事リンク(韓国語)
http://news.kmib.co.kr/article/view.asp?arcid=0014987129
コロナブルーとは、新型コロナウイルス感染症拡散により環境が変わる中で、憂鬱な気分になることを指す。また、「極端な選択」とは韓国の報道では自殺のことを指す単語。他の自殺志願者に与える影響を減らすため、2013年に改訂された自殺報道勧告基準(ガイドライン)により使用が勧告されている。

記事によると、韓国で今年1月から6月まで起きた女性の自殺は1924件。昨年の1796件に比べ7.1%増加した。
月別で見ると、1月は前年比マイナス0.6%、2月は同マイナス0.4%だったが、3月に同プラス17.3%、4月にはプラス17.9%と急増、5月にはマイナス3.5%となったが、6月にふたたびプラス13.6%となった。
この原因について、記事では(1)社会的な関係網が弱まった現実の中で、雇用安全性が脆弱な職業群に属する女性達の困難が増えた可能性、(2)子どもたちが学校や幼稚園に行けなくなる状況になり、育児負担など高まる女性達の葛藤問題が増加した、という2つの要素をあげている。韓国の自殺予防政策を統括するペク・チョンウ中央自殺予防センター長の分析だ。
記事では女性の自殺数の増加を示す別の根拠も紹介している。
ソウル市自殺予防センターのカン・ヒョンス所長は「今年、ソウル市の20代の自殺者数が2倍ほどに増えた。女性の自殺未遂者数は今年5月まで1000名に肉薄する。特に、20代女性の自殺未遂者は圧倒的に多い。他の世代に比べ、4〜5倍以上多い」と国民日報の取材に答えている。
また、韓国の保健福祉部が運営する自殺予防専門相談電話の需要も大幅に増えている。今年1月から8月まで、同電話にかかってきた電話は11万8006件と、昨年の同じ時期の4万8656件はもちろん、昨年全体の電話件数8万9488件を超えているという。
記事ではさらに、若者を対象に相談を受け付けている市民団体代表による、「以前は青年たちが相談を受ける際、問題の解決のための情報を得ようとする印象が強かった。(中略)コロナ以降には、『死にたい』、『生きる意志がない』という表現が増えた」、「青年たちは耐えられる余力が中年と比べて落ちる。青年たちの生存が先に崩壊するというのを感じている」という証言を紹介した。
記事には日本の事情も登場する。
ペク・チョンウ中央自殺予防センター長は、「8月中旬に日本の自殺予防機関のある専門家から『私たちも女性の自殺が大きく増えているが、どんな理由が考えられるか?』と話題になったことがある」と明かしている。
記事中にあるデータによると、日本の今年7月の女性の自殺件数は645件と、6月の501件から急増している。これは昨年同時期の563件よりも14.6%増加した数値だ。