
韓国の国会で2日、558兆ウォン(約53兆円)の2021年度予算案が通過した。昨年の512.3兆ウォン(約51兆円)よりも8.5%増加したもので、法で定められた12月2日の時限内に成立したのは6年ぶりとなる。
主な内訳は「保健・福祉・雇用」が199.9兆ウォン(約19兆円)、「一般・地方行政」が86.5兆ウォン(約8.2兆円)、「教育」が71兆ウォン(約6.7兆円)、「国防」が52.9兆ウォン(約5兆円)、「産業・中小企業・エネルギー」が29.1兆ウォン(2.78兆円)、「R&D(研究開発)」が27.2兆ウォン(約2.6兆円)、「SOC(社会間接資本)」が26兆ウォン(約2.5兆円)、「農林・水産・食品」が22.4兆ウォン(約2.1兆円)、「公共秩序・安全」が21.8兆ウォン(約2兆円)、「環境」が10.5兆ウォン(約1兆円)、「文化・体育・観光」8.4兆ウォン(約8000億円)、「外交・統一」が5.7兆ウォン(約5400億円)となる。

前年度からの増加率は主な分野で、「産業・中小企業・エネルギー」22.9%、「環境」16.7%、「R&D」12.3%、「SOC」11.9%、「保健・福祉・雇用」10.7%、「一般・地方行政」9.5%、「国防」5.5%、「文化・体育・観光」5.1%、「公共秩序・安全」4.4%、「外交・統一」4.3%、「農林・水産・食品」4.0%となっている。一方、「教育」分野では2.2%の減少となった。
政府の「金庫番」たる洪楠基(ホン・ナムギ)企画財政部兼副総理は先月27日の予算案を説明する会見で、「拡張的な財政基調下で財政健全性が多少悪化した側面はあるが、防疫・経済の戦時状況では一時的な債務や赤字に耐えてでも財政が要求する役割を忠実に実行するのが正しい」と述べている。
また文在寅大統領は同日、SNSを通じ「来年の予算は新型コロナウイルス危機の克服と、先導国家として跳躍するための政府の意志を込め、民生経済の回復と雇用・社会セーフティネットの強化に重点を置いた」と明かした。
こうした発言は、「社会経済の両極化」と「新型コロナウイルス感染症がもたらす経済社会構造の変化」を克服することを目的に韓国政府が今年4月に発表した「韓国版ニューディール政策」を意識したものだ。
内容は「デジタル」「グリーン」を2大軸に今後5年間で110兆ウォン(約10兆円)以上を投資するという巨大経済革新政策となるが、21年度予算では21.3兆ウォン(約2兆円)が投入される。文大統領はこれを受け、「韓国版ニューディール政策を本格的に施行できるようなった」と評価した。