脱北女性の9割近くが「韓国で社会的地位が低い」と実感…韓国公営放送の世論調査で
脱北女性の9割近くが「韓国で社会的地位が低い」と実感…韓国公営放送の世論調査で
  • The New Stance編集部
  • 承認 2020.12.08 01:37
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北朝鮮を離れ韓国に定着し暮らすいわゆる脱北女性の多くが、韓国社会での社会的地位の低さや激しい感情の起伏などにより、不安定な思いを抱いていることが分かった。
今年10月に平壌で行われた朝鮮労働党創建75周年行事に参加した北朝鮮住民。朝鮮中央テレビをキャプチャ。
今年10月に平壌で行われた朝鮮労働党創建75周年行事に参加した北朝鮮住民。朝鮮中央テレビをキャプチャ。

●300人に調査

今月5日、韓国の公営放送『KBS』のラジオ局の一つ「韓民族放送」が伝えたところによると、11月6日から20日にかけて脱北女性300人を対象に面接調査を行った結果、「韓国で自身の社会的地位が低い」と答えた者の割合は86.7%にのぼった。また、「自身が北朝鮮出身であるという理由で社会的地位が低い」と見る者の割合は35.3%だった。

さらに回答者の64.3%は「極度の感情の変化を感じている」と答えるた。「月に1〜2回は非常に不安になり憂鬱になる」とした者は43%、「怒りを覚えて我慢できない」との回答した者は36%にのぼった。

不安定な心理状態は、北朝鮮をはじめ中国またはモンゴル・東南アジアなどの第三国で暴力を直接・間接的に目撃したためと分析することができた。回答者の53%は北朝鮮国内の学校や職場で暴力を目撃したとし、23.3%は直接被害に遭った。

北朝鮮から離れた後、第三国で強制結婚や人身売買の被害に遭ったと答えた者も11.3%にのぼった。

このような心理状態が身体の異変にまでつながる場合も多かった。「消化が悪い」と答えた者は59.7%、「慢性的な痛みがある」は51.0%だった。

●ドキュメンタリーを放送

調査からは他にも、脱北女性たちの困難な状況が浮き彫りになった。回答者のうち39%が「韓国で発音やイントネーションなどでからかわれた」とし、37.7%が「慣れない言葉(外国語など)により苦労している」とした。

また、やはり75.3%の回答者が「福祉サービスが必要」としたが、実際に韓国で福祉サービスを受けている者は30%程度と低かった。

KBS「韓民族放送」はこうした調査結果と脱北女性達への深層インタビュー、心理相談専門家などの意見を基に特集ドキュメンタリー『北韓離脱住民の心理治療プロジェクト−ふたたび飛ぼう』を今月24日と25日に放送する予定だ。

 


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