「今年2月以降79%が所得機会減少」…新型コロナが韓国の青年層を直撃
「今年2月以降79%が所得機会減少」…新型コロナが韓国の青年層を直撃
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.12.11 12:11
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長引く新型コロナウイルス感染症の拡大により、韓国の青年層が経済的にも精神的にも追い込まれていることが、専門機関の調査により判明した。特に学歴や所得が低い層にしわ寄せが集中し「特段の措置が必要」と専門家は訴えた。
討論会のバナー。ソウル市青年活動支援センターが主管し、与党・共に民主党の議員が共同開催した。
討論会のバナー。ソウル市青年活動支援センターが主管し、与党・共に民主党の議員が共同開催した。

●青年の26.8%が「一度でも自殺を考えたことがある」

今月8日、ソウル市青年活動支援センターは「コロナ19の中にいる青年のための緊急討論会」を開催した(ソウル市の条例により青年は満19歳から34歳まで)。なお、韓国では新型コロナウイルスのことを「コロナ19(COVID-19の略)」と呼ぶ場合が多い。

討論会は二人の専門家による発表と、青年の活動・労働・金融・青年政策の専門家たちによる討論という構成で行われた。

まず発表したナム・ジェウク韓国職業能力開発院副研究委員は、「コロナ19が移行ルート上の青年におよぼす影響が予想よりも大きい」とし、2020年2月以降、求職の過程でアルバイトや短期の職場など所得を得る機会が減った青年の割合が79%に達したとした。また、コロナ19により受けていた教育訓練が中断や縮小した青年の割合も66.1%にのぼったと明かした。

さらに、うつ病の自家診断(CES-D)の尺度を活用した質問で、家計所得250万ウォン(約24万円)以下の青年は24.93点、高卒以下の青年は24.90点で、重症度のうつ(25点)に近い結果が出たとした。2020年2月以降、一度でも自殺したいと考えた青年の比率も26.8%にのぼった。

ナム研究委員はこのような結果について「コロナ19の影響が経済的な要因を経て、青年の再割譲の脅威として作用しているように見える」とし、「労働市場で不安定な地位、低学歴、低所得の青年により多くの影響を及ぼしていると分析できる」とした。

別の発表者の「より可能研究所」ソ・ボクキョン所長は「コロナ19の衝撃は平等ではない」とし、「高卒以下の学歴の青年の44.4%が失職を経験したことに比べ、4年生大学以上の学歴の青年のうち失職を経験したのは19.75%だった」と例を挙げた。

ソ所長はまた20代女性の自殺率が増加している傾向について、「20代男性の多くは軍隊にいるため(韓国は男性に徴兵制がある)、女性が先にコロナ19の衝撃にさらされている」と分析し、「正確で先制的な対応がない場合、今後拡散する可能性がある」と警鐘を鳴らした。さらに「今後最小でも2年間は青年のための非常計画が必要」と訴えた。

●青年雇用に特段の対策を

発表後に行われた討論では、より具体的な事例が語られた。ソウル市青年活動支援センターのキム・スビン活力事業団長は「コロナ19の余波により、青年たちが社会進出の遅れと生活苦、関係の断絶を重層的に経験している」と述べた。

また、同センターが運営するオンライン悩み相談所”hi, there”に寄せられた相談のうち、心理的な情緒に関する比率が2018年の12.1%から2020年には27.1%と2倍以上に急増したと明かした。その上で「青年たちの困難を知りながらも政府は関連予算を削減するなど、青年たちしっかい応えていない」と指摘した。

続いて、韓国労働研究院のキム・ユビン研究員は、「4月の新規就業者数が47.6万人に減少したが、青年女性、臨時・日雇い職など雇用脆弱層に衝撃が集中している」とし、「これまでの青年政策の限界と、雇用衝撃の長期化に備える青年雇用についての特段の対策が必要だ」と訴えた。

同氏はさらに「求職情報に対する探索費用がとても大きい」と指摘し、「オンライン青年センターを通じた政策情報の提供が必要」と主張した。

青年たちは金銭面での苦労が特に多い。ソウル金融福祉相談センターのチェ・ボンソク相談官は「コロナ19の影響で青年たちの負債と財務相談が増えた」と言及し、減少した所得で高い住居費用と学資金の借入を払えずに心理的なパニックにつながる多くの青年の事例を明かした。

チェ相談官はこうした状況への対策として「債務調整機械の拡大、短期資産形成プログラムの支援、高金利の沼と金融機関の被害を最小化する融資支援」を代案として提示した。

こうした指摘が相次ぐ中、ソウル市のキム・ヨンギョン青年庁長は「青年達が経験している困難に深く共感し、今日の討論会で出た提案たちを積極的に検討し、青年がより良い未来を描けるように支援する」と述べた。

ソウル市青年活動支援センター(Seoul Youth Guarantee Center)は2016年、「ソウル型青年セーフティーネット」を構築するため開館した。現在はソウル市より「青年活動支援事業」の運営を委託されている。ホームページはhttps://sygc.kr(韓国語、英語)


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