
●子ども・青少年向け文学も急増
今月7日、教保文庫は今年のベストセラーおよび図書販売の動向について発表した中で、「経済経営」と「自己啓発」分野がベストテンのうち5冊を占め、新たなトレンドになったと明かした。昨年は2冊だった。
具体的には『ザ・ハビング(더 해빙、1位)』、『お金の属性(돈의 속성、2位)』、『ハーバード上位1パーセントの秘密(하버드 상위 1페센트의 비밀、4位)』、『ジョンリーの金持ちになる習慣(존리의 부자되기 습관、6位)』、『株式投資、やみくもに真似しよう(주식투자 무작정 따라하기、7位)』といった書籍だ。
なお、昨年1位から3位を独占したエッセイ本はベストテンに一冊も入らなかった。『教保文庫』はこうしたトレンドについて「新型コロナが拡散する中、経済的な生存に対する切実な想いが反映された」と分析した。
売り上げについては『教保文庫』が昨年の同時期(1〜11月)よりも7.3%増加した。中でも「初等学習(31.0%)」、「科学(29.4%)」、「経済経営(27.6%)」、「中高学習(24.2%)」、「政治社会(23.1%)」、「趣味・スポーツ(20.2%)」などの分野が大きく伸びた。反面、「旅行(−62.3%)」、「雑誌(−19.1%)」、「外国語(−9.5%)」分野は減った。
一方、韓国メディア『図書新聞』によると、『YES24』の売り上げ(1月〜11月)は昨年よりも23%増加した。同紙によると、上位100位の図書の販売部数は昨年よりも9.1%減ったものの、幅広い分野の本が売れたという。
これについて『YES24』の関係者は「上位のベストセラーへの偏りがなく、多様な図書が愛された。特定の分野よりにも偏らず、自己啓発・経済経営・小説から児童漫画まで、まんべんなく人気があった」と明かした。
『図書新聞』はまた、新型コロナによる図書購入のトレンドの変化も指摘した。『教保文庫』では昨年は半分程度だったオンラインでの売り上げが占める割合が、今年は64.8%を占めたという。中でも、携帯電話などモバイルでの購入は前年よりも32.9%増え、インターネットでの購入も20.1%が増えたという。
『図書新聞』ではさらに細かく、新型コロナと書籍の売り上げの相関関係を分析した。子どもの養育法や、青少年の勉強法を扱った本の売り上げが増加し、、子ども・青少年向けの文学も前年比50%以上増えたとした。
また、趣味に関する本も前年比62.3%(YES24)増加した。これは同社市場最大の販売数だったという。さらに、職場や会社で「非対面」が広がる中、ITやコンピューター入門といった図書も昨年に比べ40.1%(同)が増加した。科学分野の本の売り上げも急増した。『YES24』では昨年比42%増、『教保文庫』でも29.4%が増加した。

●新型コロナ関連本は392種
『教保文庫』ではまた、今年の出版界のトレンドとして「一時停止(P.A.U.S.E.)」を挙げた。これは完全な停止を意味するストップ(STOP)とは異なり、以前の日常に復帰する希望を込めたものと説明した。
具体的には、新型コロナの世界的大流行を意味するP(Pandemic、パンデミック)、一人でも家で楽しく過ごせる意味のA(Alone、アローン)、非対面チャンネルの成長を意味するU(Untact、アンタクト)、株式など投資の熱気を表すS(Stock、ストック)、教育関連図書や青少年小説の販売増加を説明するE(Education、エデュケーション)となる。
さらに、新型コロナに関する図書も多く出版された。『教保文庫』によると「パンデミック」、「ウイルス」など4つのキーワードを含む本は例年20種類程度出版されていたが、今年は2月から大きく増え、11月末までに392種類が出版された。毎年1万冊に過ぎなかった売り上げも、20万冊に増えた。