韓国で10年ぶりに第二期「真実和解委員会」が活動開始…植民地時代以降の’過去事’の問題を調査
韓国で10年ぶりに第二期「真実和解委員会」が活動開始…植民地時代以降の’過去事’の問題を調査
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.12.15 17:34
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過去の歴史(過去事)の中で起き、放置されたままの人権侵害事件を究明する「真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委員会)」が、韓国で10年ぶりに活動を再開した。
10日、ソウル市内の「真実和解委員会」事務局で鄭根植委員長が、『兄弟福祉院』事件の真実究明を求める申請書を受け取っている。聯合ニュース提供。
10日、ソウル市内の「真実和解委員会」事務局で鄭根植委員長が、『兄弟福祉院』事件の真実究明を求める申請書を受け取っている。聯合ニュース提供。

●真実和解委員会とは

韓国で今月10日、第二期「真実和解委員会」の活動が始まった。今年6月に改定された「真実・和解のための過去事整理基本法(過去事法)」の施行に合わせてのものだ。

同法が真相究明の対象としているのは以下の事件だ。

▲日帝強占期(1910〜45)またはその直前に行われた抗日独立運動
▲日帝強占期以降、法施行日までの海外同胞史
▲光復(1945年8月15日)から韓国戦争(朝鮮戦争、1950〜53)前後の時期の民間人集団犠牲事件
▲光復から権威主義統治時(一般的には1987年の民主化以前)まで、憲政秩序の破壊行為など違法または顕著に不当な公権力の行使により起きた死亡・傷害・失踪事件、その他人権侵害事件とねつ造疑惑事件
▲光復から権威主義統治時まで韓国の正統性を否定したり、韓国を敵対視する勢力によるテロ・人権蹂躙と暴力・虐殺・疑問死
▲歴史的に重要な事件、真実和解委員会が真相究明が必要と判断した事件、

韓国では1948年の「済州4.3事件」や、朝鮮戦争期の数十万人とされる政府による民間人虐殺、さらに民主化運動を行う過程での拷問など、現代史の中で個人の人権が踏みにじられてきた歴史が多い。同委員会は、こうした数多くの事件のうち、未だ真相が解明されていない事件を扱う。

「真実和解委員会」は2004年8月15日の光復節慶祝辞の中で、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)が「普遍的な方式に立脚した包括的な過去事整理の必要性」に言及したことで、設置議論が本格化した。

その後、紆余曲折を経て2005年5月、国会で「真実・和解のための過去事整理基本法」が採択された。同法では過去事を整理する方式を「歪曲または隠蔽された真実を明らかにすることで、民族の正統性を確立し、過去との和解を通じ未来に進むための国民統合に寄与するもの」と定めた。これにより、「真実和解委員会」が発足し、2006年4月から活動が始まった。

なお初代委員長は、故盧武鉉大統領と文在寅大統領の「メンター」として知られる、宋基寅(ソン・ギイン)神父が務めた。宋氏は80年代に盧氏、文氏と共に釜山で民主化運動を共にした人物だ。

2006年から10年末にかけて活動した第一期「真実和解委員会」では、8450件が真実究明事件として処理された。内訳は、▲抗日独立運動20件、▲海外同胞史5件、▲敵対勢力関連1445件、▲民間人集団犠牲6742件、▲人権侵害238件となっている。

調査人員まで合わせ120人でスタートした同委員会は、活動の増加に従い最大で235人まで人員がふくらんだ。投入された予算は05年から10年まで合計約759億ウォン(約72億円)にのぼる。

●委員長「過去事を整理する最後の機会」

10日、第二期の活動が始まったことで全国の地方自治体で一斉に、真実究明事件の受付が始まった。犠牲者や被害者の親族・姻戚や配偶者などが2022年12月まで、2年間申請できる。

同委員会の調査期間は3年と定められているが、1年の延長が可能だ。前回と同様に4年の活動が行われると見られる。

所管機関の行政安全部は第二期「真実和解委員会」について、第一期では相対的に扱いが少なかった人権侵害事件に対する真実究明活動が活発になると見ている。また、第二期ではより積極的な資料の提出を可能にするため非公開の聴聞会制度が導入されるなど、制度が補完された。

実際に第一号の事件として10日、「兄弟福祉院」事件が同委員会に受理された。

浮浪者を収容する施設だった「兄弟福祉院」には1975年から87年にかけて市民を監禁し、強制労働や殴打・虐待・性暴力などが行われた疑惑がある。12年間に513名が死亡したと施設側は発表したが、まだ見つかっていない遺体があるなど全容が明らかになっていない。

また11日、全羅南道の和順(ファスン)郡は、朝鮮戦争当時に同地で起きた民間人殺害事件の真実究明申請書を受理したと発表した。

第二期「真実和解委員会」の委員長は、鄭根埴(チョン・グンシク)ソウル大教授が務める。

同教授は9日、『聯合ニュース』とのインタビューで「韓国の現代史が躍動的に展開されてきた中で成就したこともあったが、その分おおきな影もあった。その暗い影を正確に明かし、苦痛を受けた方たちに対する国民的な共感を広げることが社会統合におけるとても重要な課題」と述べた。

また、「今回を過去事を整理する最後の機会と思い、明るい未来に向けて歩んでいけるよう努力する」と語った。

 


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