『済州4・3事件』再審で相次ぐ無罪判決…一般裁判に続き軍事裁判でも
『済州4・3事件』再審で相次ぐ無罪判決…一般裁判に続き軍事裁判でも
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.12.28 21:33
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1948年から54年にかけて済州島民の約1割が犠牲となった『済州4.3事件』。当時、正式な手続きを経ず行われた裁判(一般、軍事)の再審を通じ、被害者の名誉回復が行われています。
無罪宣告を受けた裁判後、記者会見を行う被告たち。林宰成弁護士提供。
無罪宣告を受けた裁判後、記者会見を行う被告たち。林宰成弁護士提供。

●「関連証拠なし」

今月21日、済州地方法院(裁判所)は過去『済州4.3事件』当時、軍法会議に付され収監生活を送った、キム・ミョセン氏(92)など7人に対し無罪を宣告した。

この日、無罪を宣告されたのは、キム氏の他にキム・ヨンスク氏(90)、キム・ジョンチュ氏(89)、ソン・スニ氏(95)を合わせた女性四人と、チャン・ビョンシク氏(90)の男性一人。他に故人となった女性のピョン・ヨノク氏(享年91)と、男性のソン・ソクチン(去年94)だ。

『済州4.3事件』とは1948年4月3日から54年9月まで済州島で続いた、島民と軍・警察との間に起きた闘いと鎮圧の過程だ。通称では『済州4.3事件』と呼ばれるが、今はまだ正式な名称がない。

当初は済州島の住民が「警察や右翼組織による弾圧への反対」や「南北同時選挙の実施」さらに「米軍政の拒否」を掲げ蜂起した。これに韓国政府が「焦土化作戦」と呼ばれる激しい弾圧を加え、住民を巻き込んだ殺戮劇が起きた。

その後1950年に朝鮮戦争が始まると、政府は「4.3」に加担したとされる人物を北朝鮮に協力する恐れがあると無差別に殺害しもした。7年7か月のあいだ、全島人口の10分の1にあたる25000人から30000人が亡くなったと推定されている。

当時の軍法会議(軍事裁判)の被告が再審で無罪を宣告されたのは韓国で初めての出来事だ。

キム・ミョセン氏たちは1948年から49年にかけて、国防警備法の違反などの嫌疑で軍法会議(軍事裁判)を受け有罪とされた。当時の判決文などは残っていないが、裁判官は「被告人は一貫して公訴事実を否認し、立証の責任がある検事は関連する証拠を提出できなかった」と無罪を宣告した。

済州・西帰浦(ソギィポ)市出身のキム・ミョセン氏は当時18歳だった1948年11月、警察に連行され、南労党(南朝鮮労働党、左翼団体)加入を自白せよと強要され暴力を受けた。同氏の受刑人名簿には1949年7月7日に内乱罪で懲役1年刑を宣告されたとある。キム氏は済州島ではなく、全羅北道の全州刑務所に10か月間収監され、1950年2月に出所した。

裁判官はまた、「解放直後の極度の理念対立の中で個人が犠牲となり、生活は疲弊し、子どもたちも長い間連座制の被害を受けた」とし、「今回の判決により被告人たちがくびきから逃れ、残る余生を平安に送ってほしい」と述べた。

なお、検察側は先月16日に開かれた初の裁判で、キム・ミョオクさんをはじめとする受刑者全員に無罪を求刑し、「被告人の名誉が回復され、4.3犠牲者の痛みと苦痛が少しでも治癒されれば」と述べていた。

韓国では1980年代初頭まで連座制が存在した。当局によって『済州4.3事件の関連者』とされた市民たちは公務員任命や昇進などの過程で不利益をこうむった。

現在明らかになっているところによると、『済州4.3事件』当時、1948年12月に871人が、49年7月に1659人と二度に分けて合計2530人が軍法会議にかけられた。このうち、384人が死刑となり、ほかに無期懲役305人、懲役15年570人など重刑が課せられた。

有罪判決を受けた者たちは全国の刑務所に分散して収監され、その中の多くが1950年6月から始まった朝鮮戦争のさなか、「要視察対象の取締り」の名で銃殺された。

一方、今月7日にはやはり済州地方法院で、軍事裁判ではない一般裁判に対する再審無罪が言い渡されている。こちらも初の出来事だった。

両方の裁判で被告人の弁護人を務めた、林宰成(イム・ジェソン)弁護士は28日、筆者との書面インタビューの中で今回の判決について「歴史的な判決」と評価した。

実は今回、弁護人団は無罪ではなく軍法会議自体が違法であったとして、無罪ではなく公訴棄却を求めてきた。この点について林弁護士は「悔いが残る」としつつ、「再審事由の立証がなくても再審申請だけで再審できる『特別再審手続き』が議論されている。これが実現すれば、相当に多くの人々がその手続きの中で再審を請求でき、無罪宣告を受けることができる」と、今後の動きを見通した。

韓国の国会では現在、与党により『済州4.3特別法』改正案が発議されており、1月初頭までの成立が見込まれている。
 


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