
●年末まで人口の20%分
今月4日、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、北朝鮮が非政府機構『世界ワクチン免疫連合(以下、GAVI)』に対し、新型コロナウイルス感染症のワクチンを受け取るための申請書を提出したと伝えた。
同記事によると、GAVIのスポークスマンは北朝鮮による申請について言及はしなかったものの、「各国のワクチン需要を算出しており、遠からず新たな情報を提供するだろう」と述べた。
GAVIは新型コロナウイルスのワクチンを全世界に公正に供給するための「COVAXファシリティ」を、世界保健機構(WHO)と共に主導している団体だ。
昨年12月、GAVIは先進国が供与した後援金で開発途上国にワクチンを供給する「COVAX AMC(先購買公約メカニズム)」の対象となる92の低所得国家のうち、86か国がワクチン申請書を提出したと明かしていた。北朝鮮も対象となる国に含まれている。
こうした国々のために、COVAX側は後援金を通じ最低でも13億回分のワクチンを確保してある。今年年末まで、該当する国々の人口の20%が接種できる分量を供給するのが目標だ。
同紙はまた、北朝鮮が最近数週間のあいだ、いくつかの欧州の国家の大使館にワクチンを確保する方法について聞いたと、複数の関係者を引用し伝えた。
同紙はさらに、北朝鮮に確診者がいないことについて懐疑的な立場を示しながら、北朝鮮の貧困水準と保健医療インフラを考慮する場合、北朝鮮住民が特に新型コロナに対し脆弱である可能性があるとした。
現在まで、北朝鮮当局は新型コロナウイルス感染者の存在は公式に認めていない。一方で金正恩政権は「ウイルスとの戦争」を国家の生存問題と呼び、国境を封鎖するなど新型コロナウイルスへの対処の優先度を高めている。
また、最近になって英国発の新型コロナ変異種が確認されるや、朝鮮労働党機関誌『労働新聞』は先月29日に「どんな瞬間にも油断してはいけない」と警戒を促した。
世界保健機構(WHO)によると、北朝鮮では昨年12月17日まで、1万1707人を対象に2万3140件の新型コロナ検査を行ったが、感染が確認された者はいなかった。一方で数万人が隔離されたとした。