京畿道が農漁村地域の外国人労働者宿舎を全数調査…死亡事故受け
京畿道が農漁村地域の外国人労働者宿舎を全数調査…死亡事故受け
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.01.06 23:40
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昨年末に農家のビニールハウスで移住労働者が亡くなった事件により、韓国社会で再び移住労働者の待遇改善を求める声が出始めている。そんな中、京畿道が農漁村地域の外国人労働者の宿舎に対する全数調査を実施するなど、道としての対応に乗り出している。
今月4日、ソウル市内の国家人権委員会前で『移住労働者の寄宿舎産業災害死亡対策委員会』が外国人労働者への臨時宿舎の割当と緊急の医療支援などを求める記者会見を開いている。聯合ニュース提供。
今月4日、ソウル市内の国家人権委員会前で『移住労働者の寄宿舎産業災害死亡対策委員会』が外国人労働者への臨時宿舎の割当と緊急の医療支援などを求める記者会見を開いている。聯合ニュース提供。

●対象は2000か所以上

京畿道は5日、「京畿道の農漁村地域における外国人労働者の住居環境実態調査推進計画」を発表した。

調査を主管する京畿道の外国人政策課によると、調査の目的は「実態調査を基に農漁村地域の移住労働者たちの住居環境の改善方案を作り、人権死角地帯を解消し、移住労働者たちがより安全な場所で生活し働ける環境を作ること」にある。

実態調査は道内の市郡との協力の下、今月4日から15日まで二週間にわたって行われる。昨年11月末時点での雇用労働部の統計に基づき、道内の農業・畜産業および漁業と関連し2280の事業場が対象だ。

こうした動きは先月20日、京畿道の抱川(ポチョン)市内のビニールハウスの中で、カンボジア国籍の30代の女性労働者ソクヘン氏が死亡した状態で見つかったことによる。

抱川警察署は「凍死したような証拠はなかった」としたが、抱川移住労働者センターなどは、A氏の同僚の証言などを元に「当日、宿舎では暖房が稼働せず、A氏以外の労働者は別の宿舎で眠っていた」と明かしている。当時、寒波により気温は零下20度近くまで下がっていた。

実態調査は勤労基準法の施行令を遵守しているかをチェックする。具体的には住居の形態、設置場所、寝室・トイレ・洗面所、シャワー施設・冷暖房施設・採光ならびに換気施設・消防施設の設置などの設置や管理の実態、さらに電気安全診断の履行といった項目になる。

韓国の雇用労働部は2019年に外国人雇用法を改定し、1人あたりの寝室の面積を2.5平方メートル以上、トイレ、浴室、冷暖房、消防施設の設置など12の基準を定めた。さらに事業主がこれを守らない場合には項目ごとに減点する制度を導入している。

だが、20年7月当時、外国人雇用許可を持つ事業所1万5773か所のうち、労働部が定めた最低基準に満たない割合は31.7%にのぼるという統計を見ても分かるように環境は劣悪だ。こうした住居に住む外国人労働者は全国で少なくとも2万人あまりにのぼるとされる。

道側は今回の調査のため、労働局・外国人政策課・農業政策課・畜産政策課・海洋水産課など関連部署と市郡、民間専門家などが参加するタスクフォース(TF)を作り、円滑な実態調査が行われるよう準備を進めてきた。

道側は調査開始に合わせ、「外国人労働者の住居環境改善を進めるのはもちろんのこと、調査過程で見つかった違法行為や火災・凍死などの危険要素には即時的な改善を命じる」と明かしている。

なお、京畿道の李在明(イ・ジェミョン)知事は先月24日、自身のSNSに「健康悪化で亡くなったとされるが、ビニールハウスの宿舎で的確な診療機会も、身体を回復させる空間も無かったという問題の本質が変わる訳ではない」と書き込んでいる。

さらに「人は全て尊貴な存在で、皮膚の色と言語が異なるといって差別されるいわれはない。実態調査を土台に、彼らが安定した環境で過ごせるようにする」と対策を約束していた。


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