
●高まる批判世論…「警察のシステムを全面刷新する」とも
6日、金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長は会見を開き、「ソウルで起きた児童虐待事件と関連し、無くなったジョンインちゃん(女児が養子に行く前の名前)の冥福をお祈りする」とし、「虐待の被害を受けた女児の生命を保護できなかった点に深い謝罪の言葉を申し上げる」と述べた。
今年1月、韓国『SBS』の人気調査報道番組『それが知りたい』は事件を取り上げ、被害女児は過去3度、虐待の手から逃れる機会があったと報じた。
具体的には▲20年5月、女児の身体にアザがあると女児が通う保育園の園長が児童保護専門公務員に通報しそこから警察に通報したこと、▲同7月に匿名の通報者が女児の鎖骨骨折および車内への放置を通報したこと、さらに▲無くなる一か月前の同9月に保育園の園長が女児の栄養失調が悪いと小児科に連れて行った際、病院の医者が通報した。
だが警察は、「証拠不足」(8月)や「事例管理後、虐待嫌疑が見つかった場合に所轄署に捜査依頼を」(9月)といった未熟な対応を行い、結果として女児の命が失われた。
こうした事実が明らかになるや、韓国社会ではここ数日「国民の生命と安全を保護する義務を怠った」と、警察の対応を批判する声が高まっていた。
金庁長は会見で「初動対応と捜査の過程が未熟だった部分に対し、警察の最高責任者として深い責任感を感じる」とし、「厳正で徹底した真相調査を基に、再発防止対策を立て、警察の児童虐待対応システムを全面刷新する契機とする」と語った。
同氏はさらに、「国民の生命と安全、特に社会的な弱者と関連する事件については警察署長に即刻報告するシステムを整え、指揮官が直接管轄するものとする」とし、「通報が繰り返される場合にはモニタリングを行うよう、児童虐待の対応システムを改善し、早期に被害児童を保護できるようにする」と発表した。
その上で、所轄署長を更迭し後任に女性青少年課出身の人物を据えるとした。
また、「警察庁に児童虐待専門担当部署を新設し、国家捜査本部と市・道自治警察との間の協力システム」を構築し、「すべての児童虐待と疑われる事件において、嫌疑者の精神病歴やアルコール中毒、さらに被害児童の過去の診療記録を必ず確認する」と明かした。
韓国政府の統計によると、韓国の児童虐待は2014年の10,027件から2019年には30,045件(男児51.4%、女児48.6%)と増え続けており、死亡者も15年の16人から19年には42人と急増している。虐待の75.6%は両親によるもので、加害者に対する告発・告訴件数も10,334件(19年)にのぼる。