
●広さ450平方メートル、空輸も可能
7日、韓国科学技術院(KAIST)はソウル市蘆原(ノウォン)区にある韓国原子力医学院で「移動型陰圧病棟(Mobile Clinic Module・MCM)の試験運用に入ったと明かした。
「陰圧病室」とは、外部よりも空気圧が低く設定され、病原体が外部に漏れ広がるのを防ぐ隔離病室のこと。感染症治療に欠かせない設備とされる。「感染病隔離病室(Airborne Infection Isolation Room)」と呼ばれることもある。
なお、KAISTとは本部を大田(テジョン)市に置く、理工系に特化した韓国トップ大学の一つだ。
同校産業デザイン学科のナム・テクチン教授チームが開発した「移動型陰圧病棟」は高級医療設備を備えた陰圧隔離施設で、迅速に変形・改造し使える点が特徴だ。
縦30メートル、横15メートルの450平方メートル規模の内部には、重症患者をケアするための前室、4つの陰圧病室、看護ステーション、脱衣室、医療装備保管室、医療陣室が揃っている。

陰圧機・陽圧機・コンプレッサーなどからなる柱の役割を果たす陰圧フレームが、両方向に圧力を調節し、前室と病室にエアーテント空間を作り陰圧化する原理が採用されている。また、壁面には機能パネルを設置し、重症患者治療のためのグローブなど医療設備を備えた。
ナム教授のチームは、このような前室と病室からなる基本モジュール一つを組み立てるのに「15分しかかからない」とした。

また、「6〜8つの重症患者病室がある病室モジュールを設置する場合、試作品製作から移送・納品まで最大でも4週以内に可能」と説明した。
現在、研究チームは韓国原子力医学院に4つの病室を持つ病棟を設置し、15日まで試験運用を行う計画を実行中だ。
今回開発された移動式陰圧病室は、コンテナやテントによる従来の組み立て式と比べ20%のコストで製作できる。また、感染病の流行が過ぎた後でも重症患者のための専門病棟として活用が可能だ。

さらに、全体の容量を30%に減らした状態で保管もできる上に、モジュール化(機能ごとに分けた)パッケージを航空運送できるようになっており、全体を輸出することもできる。
KAISTのナム教授は開発にあたり、「試験運用期間に医療陣と患者の使用性と安定性、満足度などを臨床検証したのちに、商用化を本格的に進める計画」と明かした。