カフェのオーナー達が韓国政府を相手に損害賠償訴訟…憲法裁判所にも救済請求
カフェのオーナー達が韓国政府を相手に損害賠償訴訟…憲法裁判所にも救済請求
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2021.01.12 22:51
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新型コロナウイルスの封じ込めのため、政府が飲食業を中心に営業形態・時間などについて強制力のある措置を取る韓国で、ついにオーナーたちの怒りが爆発した。政府を相手に訴訟を提起し、憲法裁判所に対しては「違憲である」と訴願している。
今月7日、世宗市の保健福祉部前でデモを行うカフェのオーナー達。聯合ニュース提供。
今月7日、世宗市の保健福祉部前でデモを行うカフェのオーナー達。聯合ニュース提供。

●カフェのオーナー200人が約47万円ずつ

11日、全国カフェ社長連合会は「韓国政府を相手に損害補償を請求する訴訟を提起する」と発表した。「第1次の訴訟には200人前後が参加する予定で、一人当たり500万ウォン(約47万円)を請求する」とのことだ。今月14日、ソウル中央地裁に訴状を提出する。

同連合会はこれまでも、政府による長期間の営業制限措置により莫大な被害を負ったとして、オンラインデモや街頭デモを続けてきた。

韓国政府は新型コロナウイルス拡散を防ぐため、昨年から段階別の「社会的距離の確保」戦略を導入してきた。

感染者数に合わせて上下する三段階(実際は五段階)のうち、二段階目と三段階目の間(実質的には四段階目)になると、カフェはテイクアウトと配達だけが認められ、店内での飲食が禁止される。また、営業時間も午後9時までに制限される。

首都圏(ソウル市、京畿道[キョンギド]、仁川[インチョン]市)では錯塩12月8日から今までこの段階が続いている。韓国政府は新型コロナ以前よりも売上が落ちた店には、一回あたり約10万〜30万円の支援金を過去3度にわたり支給したが、損失補償は行っていない。

コ・ジャンス会長は「政府の新型コロナ防疫規制により、生存の危機に追いやられ切迫した思いで訴訟を起こすに至った」とし、「政府が一貫性・衡平性のある制度を作ってくれるように求める」と主張している。

訴訟代理人を務める法務法人ウイルのキム・ホヨン弁護士は、「全てのカフェに一律的にテイクアウト・配達だけを認めることは、合理的な理由のない恣意的な差別」とし、「損害・損失に対する適切な補償がない営業制限に対しては、国家賠償請求訴訟と共に、憲法訴願も行う予定」と明かした。

憲法訴願審査制度とは、国家による公権力の行使または不行使により国民の基本権が侵害される場合に、憲法裁判所を対象に救済を直接請求し、これを同裁判所が審判する制度を指す。

●中・小商人と市民団体も憲法訴願

上記の件とは別に、今月5日には中・小商人(経営者)団体と『民主社会のための弁護士会』や『参与連帯』といった有力市民団体が連名で、「新型コロナウイルス拡散防止のための営業制限措置による中小商人たちの損失補償および支援対策の策定」を求め、憲法裁判所に憲法訴願審判を請求した。

今月5日、ソウル市内の憲法裁判所前で会見を開く経営者と市民団体。参与連帯提供。
今月5日、ソウル市内の憲法裁判所前で会見を開く経営者と市民団体。参与連帯提供。

請求書の内容は、「昨年3月、8月、11月の3度にわたり二段階以上(実質三段階以上)の『社会的距離の確保』対策を施行し、ホステスのいる酒場、室内体育施設、カフェや飲食業など9種類の重点管理施設にそれぞれ、集合禁止(営業停止)、集合制限(人数制限)などの営業措置をしてきた」としながら、「営業制限措置の根拠となる感染病予防法と地方自治体の告示に、損害賠償に対するいかなる根拠条項も作らずに、被害を受けた中小商人や自営業者の財産権など基本権を侵害した」というものだ。

『参与連帯』によると当事者たちは「昨年一年間、本人と家族達の生存権が大きく脅かされてきたが、新型コロナを早期に終息させなければならない一心で、政府と自治体の営業制限措置を進んで受け入れてきたが、これ以上耐えられない状況だ」と訴えているとのことだ。

また、政府は様々な支援や融資策を取っているが、店の家賃が月に数百万ウォン(数十万円)もする商売人たちにとっては大きく足りないと指摘した。

これらの事情を踏まえ、上記の憲法訴願では「比例制の原則」、「侵害の最少性の原則」などの原則を違反しているとした。

昨年12月20日には全羅北道で、全国初となる同様の憲法訴願が行われている。長引く新型コロナウイルスの流行にしたがい、こうした動きは今後広がっていくものと見られる。


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