韓国の新型コロナワクチン接種計画は、”11月までに集団免疫”を目標に「公正性・透明性」を強調
韓国の新型コロナワクチン接種計画は、”11月までに集団免疫”を目標に「公正性・透明性」を強調
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2021.01.30 15:58
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OECD(経済協力開発機構)諸国の中でも接種開始が遅れていた韓国で、ついに新型コロナワクチン接種計画が発表された。これまでの韓国政府の新型コロナ対策における原則を踏襲し、総力戦で臨む構えだ。
28日、新型コロナワクチン接種計画を発表する疾病管理庁の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)庁長。聯合ニュース提供。
28日、新型コロナワクチン接種計画を発表する疾病管理庁の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)庁長。聯合ニュース提供。

●外国人にも無料接種

今月28日、韓国の「新型コロナウイルス予防接種対応推進団」は新型コロナワクチン予防接種計画を発表した。同組織は感染病対策の専門機関である疾病管理庁をはじめ、保健福祉部・外交部・食品医薬品安全処といった関連部署からなる。

この日の発表によると、2月末から始まる韓国のワクチン接種はいくつかの段階に分けて実施される。政府は「11月以前まで集団免疫を形成すること」を目的に掲げている。

これはインフルエンザの流行時期の到来に合わせたもので、具体的には「小児・青少年・妊産婦を除いた国民の70%がワクチンを接種すること」となる。

政府が発表した優先順位の内訳は以下のようなものだ。

  1. 感染病専門担当病院や重症患者の治療病棟を運営する病院などではたらく医者と看護師など約5万人を対象に、2月末から実施。
  2. 療養病院や療養施設(老人ホーム)の入院患者や従事者など約78万人を対象に第一四半期(3月末まで)から実施。
  3. 重症患者が多い上級総合病院や総合病院などの医療機関で働く医療陣や救急隊、検疫官、疫学調査官など約44万人を対象に3月中旬から実施。
  4. 65歳以上の老人約850万人および福祉施設、障碍者施設など感染に脆弱な施設の入所者と職員約90万人を対象に5月末から実施。
  5. 病院や薬局に勤務する人物38万人を対象に、第二四半期(4月〜)から実施。
  6. 慢性疾患者と成人(満18歳〜64歳)を対象に7月から接種を実施。
  7. 第四四半期(9月以降)には、二次接種と未接種者を対象に行う。

こうした日程にしたがう場合、第一四半期には約130万人、第二四半期には約900万人、第三四半期は約3325万人に対し接種が行われることになる。なお、月別の計画は公開されていない。

また、韓国以外の国に滞在する在外国民も韓国内でワクチンを接種できる。韓国内で登録し長期滞在する外国人に対しても韓国人と同じようにワクチン接種の対象となる。不法滞在となっている外国人に対しては「国民の健康に及ぼす影響を考慮し、必要と判断される場合に接種を行う予定」と明かした。

また、第二四半期からは、公務や経済活動のために緊急に出国しなければならない場合には、必要な手続きを経て優先的に予防接種を受けられるようにするという。

政府は来月1日から、ワクチン接種に関する情報を集めたホームページを公開する予定だ。また事前予約機能などを調整し、4月からは接種時期、場所、留意事項などを事前に案内するシステムを整えるとした。

韓国には、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社、ヤンセンファーマ社、ノババックス社のワクチンが導入される予定だ。最も早く導入されるのはアストラゼネカ社のもので、2月中に75万人(150万回分)が供給される予定となっている。

新型コロナワクチンの予防接種システムを紹介する政府のバナー。なるべく分かりやすいようにと、政府は図を多用した説明を行っている。疾病管理庁提供。
新型コロナワクチンの予防接種システムを紹介する政府のバナー。なるべく分かりやすいようにと、政府は図を多用した説明を行っている。疾病管理庁提供。

●「差別があってはならない」、軍も投入

ワクチン接種においても韓国政府は「透明性」を強調する。

コロナ対策における政府横断組織「中央防疫対策本部(中対本)」の長を務める丁世均(チョン・セギュン)総理は29日、「政府は大きく公正性と透明性という二つの原則をもってワクチン接種を進めていく」とし、「ワクチン接種において地位の上下、貧富の格差、国籍、性別などをもって決して差別があってはならない」と明かした。

さらに「『K−防疫(韓国のコロナ対策の名称)』も透明性の原則の上に成り立っていた」とし、「ワクチンの導入から運送、保管、接種における状況管理に至るまで全ての過程を国民に透明に公開し、信頼を得る」と強調した。

韓国の疾病管理庁の国際協力チームは29日、在韓米軍平澤基地内にある病院のワクチンセンターを訪問し、冷凍設備などについて視察した。

蔚山(ウルサン)市や忠清南道などの地方自治体では、ワクチン接種を円滑に行うために行政と病院団体の間で協約を結ぶ動きが広がっている。また、軍が主軸となる「新型コロナワクチン輸送支援本部」が2月から稼働するなど、国の総力を挙げて取り組む姿勢を見せている。

また韓国メディアは、その間の疾病管理庁とのやり取りを元に、ワクチン接種におけるQ&Aを作成し配布している。一例として『聯合ニュース』では以下のような内容となっている。

(1)ワクチンの種類と場所、時期は政府が決めるのか。
→接種現場の混乱を最小化させるため、ワクチンの種類と時期を選ぶ選択権は(市民に)与えられない。

(2)接種対象者なのか、いつどこで接種すれば良いのかどう確認するのか。
→2月1日から「コロナ19ワクチンおよび予防接種」ホームページを公開。

(3)一般人はいつから接種できるのか。
→一般成人(19〜64歳)は今年第三四半期(7月〜9月)から。妊産婦と18歳未満の小児、青少年は接種対象から除外。

(4)ワクチン接種拒否者はどうなるのか。
→接種順位が最後に調整される。

(5)異常反応が起きる場合にはどんな補償があるのか。
→「予防接種被害補償に対する国家補償制度」を運用する。

(6)ワクチンを接種しても新型コロナに感染するのか。
→ワクチン接種により100%免疫ができるわけではない。接種以降にも防疫守則を守る必要がある。

(7)接種後、免疫ができるまでどれくらいかかるのか。
→一般的には抗体ができるまで2週間かかる。

(8)既に新型コロナに感染し治療後に回復した場合にも、ワクチンを接種できるのか。
→感染歴と関係なくワクチンを接種できる。

(9)一次接種以降、二次接種が遅れる場合に一次接種からやり直すべきか。
→できるだけ早く二次接種を受けるべき。

なお、文在寅大統領は18日の新年記者会見の中で改めて「ワクチン完全無料接種」と、「副作用に対する国家全額補償」を表明していた。ただ、11月までに70%に接種するためには、毎週100万人以上に接種可能な行政システムを整える必要があり、予定通りに進めるのは容易ではないとの指摘も韓国メディアから出ている。

「新型コロナ予防接種、安全で迅速に進めます」と書かれた政府制作のバナー。疾病管理庁提供。
「新型コロナ予防接種、安全で迅速に進めます」と書かれた政府制作のバナー。疾病管理庁提供。

 

 


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