
●全国約半分の学校が対象に
韓国の教育部は3日、『グリーンスマート未来学校総合推進計画』を発表した。この事業は築40年以上になる学校の建物のうち、約1400校の2835棟を2025年までにリノベーション(改修)するというものだ。
事業推進の背景には、新型コロナウイルス感染症の拡散も影響している。教育部は「新型コロナによる遠隔授業がきっかけとなり、教育テクノロジーを活用した遠隔教育システムが必要」と説明した。この他にも「気候変化協約に対応する親環境ゼロエネルギー学校の普及」、そして「未来の教育の変化に対応する学生中心の創意的な教育空間への変化」が今回の計画の目的と教育部は明かしている。
事業の基本的な方向としては、▲教育課程と教授学習(教師が学生に教えること)、学校の環境を統合し転換する未来学校の先導モデルの策定、▲事前の企画から設計まで、学生と教師が参加する使用者参加原則での進行、▲学校別の特色ある未来学校モデルの策定などに決まった。
さらに事業においては以下の核心的な四つの要素を満たすことを定めた。
一つ目は「空間の核心」で、これは既存の規格化された教室ではなく学生が選択できる学習空間や休息・疎通が可能な空間などの方向性を示す。二つ目は「スマート教室」で、無線インターネット、学習プラットフォーム、デジタル機器などの備えた尖端知能型環境を教室に構築するものだ。
三つ目は「グリーン学校」で、環境親和型の建築技法を導入すると同時にエネルギーの自給自足を目指す。そして四つ目の「学校の複合化」では、学校の一部の施設を地域と共有し、住民と共同でプログラムを行うことが含まれる。
事業には、今年から2025年まで総額18兆5000億ウォン(約1兆7300億円)が投入される。30%は国費で、70%は地方費が充てられる。
今後、各地の教育庁が需要の調査や、未来学校への転換意志などを確認する事前調査を行い、2月末までに最終的な対象校を決める。工事は来年から始める。2025年の工事終了後には評価を経て、26年からは更なる事業の拡張を目指す。
韓国で現在、築40年を超えた学校の建物は7980棟にのぼる。この内、合宿所や倉庫など教育用途以外の施設を除くと約6000棟になるが、今回の事業ではその約半分が対象となる算段だ。
今回の事業決定に合わせ、教育部と各地の教育庁は各自治体や専門家、地域の市民団体などを含む地域協議体を作る他、17の教育庁が共同で運営する「未来学校支援センター(仮称)」も設立される。
この日、事業計画を発表した兪銀惠(ユ・ウネ)副総理兼教育部長官は「グリーンスマート未来学校事業には、新型コロナウイルス感染症以降の“教育の大転換”を現実にする推進計画が込められている」とし、「学生たちみずからが幸せに成長する学校を作るよう、積極的に支援する」と明かした。







