「支援策もしくは清算を」…閉鎖から5年迎え開城工業団地入居企業が悲痛な訴え
「支援策もしくは清算を」…閉鎖から5年迎え開城工業団地入居企業が悲痛な訴え
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2021.02.10 22:09
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16年2月の突然の閉鎖から5年が経つ中、南北経済協力の象徴だった開城工業団地の入居企業が韓国政府に対し「究極の選択」を突きつけた。我慢は限界に達している。
9日、青瓦台前で会見を行う「開城工団企業非常対策委員会」の関係者たち。聯合ニュース提供。
9日、青瓦台前で会見を行う「開城工団企業非常対策委員会」の関係者たち。聯合ニュース提供。

●「工団閉鎖は違法」

00年に韓国の故金大中(キム・デジュン)大統領と北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の合意の下、北朝鮮の開城(ケソン)市に設置され、04年から稼働を始めた開城工業団地。124の韓国企業が約5万5000人の北朝鮮住民を雇用し、2015年の生産規模は5億6000万ドルにのぼった。

だが16年2月10日、同年1月の4度目の核実験やミサイル発射実験を理由に当時の朴槿惠(パク・クネ)大統領が突然の閉鎖指示を下して以降、今なお再開には至っていない。

そんな中、今月9日、開城工団企業非常対策委員会はソウルの青瓦台(大統領府)前で記者会見を開き、工団の再開を訴えた。

同委員会は会見で、「開城工業団地は閉鎖から5年が経った。私たち企業は絶望的な状況にある」とし、「違法な工団の閉鎖に対し、政府では誰も謝罪や責任を取っておらず、私たちは忘れられた存在になっている」と主張した。

ここで「違法な工団の閉鎖」とは、手続き上の不備を指すものだ。

南北関係を主管する韓国の統一部は17年12月、外部の専門家で構成された政策革新委員会による「開城工団の閉鎖は大統領の一存によるものであり、さらに国務会議(長官会議)での審議や文書での記録など憲法に定められた手続きを無視したものである」との調査結果を発表した。

昨年6月には北朝鮮政府により、開城工業団地内にある南北共同連絡事務所が爆破された。その後、南北間の協議は一度も行われていない。昨年12月、本紙徐台教撮影。
昨年6月には北朝鮮政府により、開城工業団地内にある南北共同連絡事務所が爆破された。その後、南北間の協議は一度も行われていない。昨年12月、本紙徐台教撮影。

9日の記者会見ではさらに、「政府が開城工団の再開を即刻宣言し、実質的に再稼働するまで企業が生存できるように支援策を作るべきだ」とし、「米国による過度な関与により、開城工団の再開宣言すらできないというのならば、血を吐く心情で開城工団の清算を要求する」と明かした。

工団入居企業が「清算」を口にするのは異例のことだ。それ程に状況は切迫している。韓国の文在寅政権は17年5月の発足後から開城工業団地の再開を検討し、18年9月の南北首脳による『平壌共同宣言』では「条件が整い次第再開する」としてきた。だが、国連や米国などにより北朝鮮に対し厳しい経済制裁が課せられ、非核化にも進展が見られないこともあり、実現には至っていない。

またこの日、同委員会のチョン・ギソプ委員長は文在寅大統領宛に公開書簡を送った。この中で、「5年前、開城工団の電撃的な閉鎖措置は北朝鮮への国際的な経済制裁のためでなく、前職大統領の即興的、独断的な決定により利害当事者である企業に対する事前の予告すらないまま違法に強制された政治的な行政行為だった」とした。

さらに、「いくつかの生産施設を持つ大企業以外の(工団)入居企業は、経営難がとても厳しい。再生手続きに入った企業を含め30%以上の企業が休業もしくは事実上の廃業状態」と書いた。

その上で、「今では希望を諦め工団の清算と正当な補償を主張すべきなのか、それとも政府を信じて今後どれほど長引くか分からない忍苦の歳月に耐えるべきなのか、大統領が教えてほしい」と訴えた。
 


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