韓国の雇用状況が悪化…新型コロナの影響で統計作成以降最悪の失業者数
韓国の雇用状況が悪化…新型コロナの影響で統計作成以降最悪の失業者数
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.02.11 13:10
  • コメント 0
記事を共有します

最新の統計によると、韓国の失業者数は1999年6月の統計作成以降、最多となった。就業者数も22年ぶりに最大の減少幅となり、雇用状況の悪化への対処が強く求められている。
ソウル市内の雇用福祉センターの様子。企業の支援や失業手当手続きの張り紙が目立つ。聯合ニュース提供。
ソウル市内の雇用福祉センターの様子。企業の支援や失業手当手続きの張り紙が目立つ。聯合ニュース提供。

●11か月連続で減少

10日、韓国の統計庁が発表した「20211月雇用動向」によると、先月の就業者数は2581万8千人で1年前より98万2千人の減少となった。これは1997年の「通貨危機」の影響を受けていた1998年12月の128万3千人という下げ幅に次ぐ数値となる。

これにより、就業者数の減少は新型コロナウイルス感染症の拡散が始まった昨年3月から、11か月連続となった。1998年1月から1999年4月までの16か月連続減少に次ぐ長さとなる。

韓国の首都圏では昨年12月以降、新型コロナ「第三の波」を受け、強い「社会的(物理的)距離の確保戦略」が取られている。レストランや居酒屋などの施設は、午後9時以降はテイクアウトのみとし、5人以上の集まりはすべて禁止されている。

産業別では宿泊・飲食業で36万7千人、卸売・小売業で21万8千人、協会および団体・修理およびその他個人サービス業で10万3千人が、それぞれ減少した。

他方、運輸および倉庫業で3万人、事業施設管理・事業支援および賃貸サービス業で2万7千人、公共行政・国防・社会保障行政では2万人がそれぞれ増加した。

雇用形態では、常用勤労者(いわゆる正社員)が3万6千人増加した反面、臨時勤労者は56万3千人、日用(日雇い)勤労者は23万2千人がそれぞれ減少した。

すべての年齢層で就業者が減ったが、特に若年層への影響が大きかった。20代では25万5千人、30代は27万3千人が減少し、40代は21万人、50代は17万人、60代以上は1万5千人がそれぞれ減った。

15歳以上の雇用率は57.4%となり、1年前から2.6ポイント減少した。1月基準では2011年の57.0%以降、最も低い数値だ。また、経済協力開発機構(OECD)加入国での比較基準となる15歳から64歳までの雇用率は64.3%で、1年前より2.4%ポイント下落した。

失業者数のグラフ。横軸が時期、縦軸左が失業者数(千人)、縦軸右が失業率(%)だ。統計庁資料より引用。
失業者数のグラフ。横軸が時期、縦軸左が失業者数(千人)、縦軸右が失業率(%)だ。統計庁資料より引用。

●失業にも「格差」

また、失業者数は157万人で、1年前より41万7千人(36.2%)が増加した。1999年6月の統計作成以降、最も多い。失業率も5.7%となり、1年前よりも1.6%ポイント上昇した。

男性は1年前よりも25.9%増加した一方、女性は48.4%の増加となった。大卒以上は30.1%の増加だった反面、高卒では32.4%、中卒以下では50.3%と雇用ショックにも「格差」が見られた。

15歳から29歳までの青年層の失業率は9.5%となり、1年前に比べ1.8%ポイントの上昇となった。25歳〜29歳までの失業率は8.0%で、同1.4%ポイント上昇した。

こうした発表を受け、洪楠基(ホン・ナムギ)副総理兼企画財政部長官は10日、「予想できたものではあるが、厳しい雇用指標に対し重い気持ちを禁じ得ない」としつつも、「今回の雇用状況のショックは、防疫強化の影響だけでなく、1月の豪雪など一部の気候的な要因、年末年始の財政雇用事業(政府支援雇用)の終了・再開における摩擦的な要因、昨年1月の雇用が好調だったことによる基底効果なども一部で作用したものと判断できる」と説明した。

その上で、「最近の防疫状況、景気状況、雇用の推移ならびに防疫の雇用波及速度などを総合的に勘案すると、1月の雇用を底に、少しずつ良くなるだろうと控えめに予想する」と述べ、政府が21年の第一四半期に90万以上の公共部門の雇用を提供することを明かした。
 


関連記事