●「MeToo運動を支持する」69%
『韓国リサーチ』は17日、同社が行う定例世論調査の一つ「MeToo運動に対する認識変化」の結果を公開した。
18年3月、19年2月に続き行われた今回の調査で、「最近数年間、セクシャルハラスメントや性暴力経験を告白するMeToo運動が韓国社会の各界で行われている。あなたはMeToo運動を支持しますか?」という質問に回答者の69%が「支持する」と答えた。
18年3月は84%、19年2月の74%となっており、約2年で微減となった形だ。「とても支持する」という回答が24%、「だいたい支持する」が46%だった。

内訳では女性の77%、男性の62%が「支持する」とした。女性は過去の調査と比較すると88%→82%→77%と推移する一方、男性は81%→65%→62%となった。
年齢別に見ると、18歳〜29歳は全体が51%で、同じく推移を見ると女性は95%→82%→74%、男性は77%→44%→29%と全ての年代の中で最も低い数値となった。
30代は同様に全体で62%、女性が95%→82%→74%、男性が78%→50%→50%となり、40代は全体で70%、女性が92%→85%→75%、男性が91%→80%→70%だった。
また、50代は全体で80%、女性が87%→84%→83%、男性が78%→77%→77%と高い水準を維持しており、60歳以上も全体で76%、女性74%→78%→76%、男性80%→74%→77%と同様だった。
●「肯定的な影響」66%
次に、「あなたはMeToo運動が韓国社会にどんな影響を与えていると考えますか?」という質問には、全体の66%が「肯定的な影響を与えている」と答えた。「とても肯定的」15%、「だいたい肯定的」51%だった。
内訳では女性が73%、男性が59%だった。年代別に見た全体の「肯定(とても、だいたいの合計)」数値は、18〜29歳が42%、30代で59%、40代69%、50代79%、60歳以上が73%だった。

一つ目の設問への回答と同様に、18〜29歳までの低い数値が目立った。特に男性は「とても肯定的」3%、「だいたい肯定的」20%の合計23%と、女性の同15%、47%の合計62%と大きな差があった。
このような若年男性のMeToo運動への低い共感をどう読むか。韓国メディアでは「20代の男性にとって、女性は弱い存在ではなく、優秀な競争相手となっている」という分析が多く見られる。
これは女性であることが社会的な不利益につながった40代や50代とは異なり、20代(もしくは30代も)では性平等が進んでおり、MeToo運動やフェミニズムの拡散は男性にとって「強い者がより強くなる脅威」と受け止められているという言説だ。
また、青年男性が18か月から21か月のあいだ軍隊に行かなければならない徴兵制の存在も、男女間の競争において男性に不利にはたらくという認識がある。
2018年12月の『リアルメーター』社による世論調査では、「韓国社会の最も深刻な葛藤」を問う質問に全世代を通じ「貧富の格差(葛藤)」が35%で1位となったが、20代の57%は「ジェンダー葛藤」を挙げている。
こうした認識を持つ20代男性は、性平等を掲げる(その実現は別として)文在寅政権に対しても低い支持率を見せる特徴がある。
●MeToo運動の両面性に対する調査
調査の話に戻る。MeToo運動が具体的に韓国社会に与える影響について、肯定的な影響3つ、否定的な影響3つの計6項目での調査が行われた。
まず、肯定的な影響として「性的なジョークや身体的接触に気を付ける雰囲気が形成されている」が80%(19年2月は84%。以下カッコ内は19年2月の数値)、「組織や社会の女性差別的な問題に関し変化のきっかけになっている」70%(64%)、「被害者が被害事実を話せる雰囲気が形成されている」61%(63%)となった。

一方、否定的な影響として「男性たちが潜在的な犯罪はとして扱われる場合が有る」63%(67%)、「事実に基づかない変節したmetooにより濡れ衣を着せられる被害者を量産している」59%(63%)、「metoo運動が性対決および葛藤を助長している」49%(55%)となった。
約2年の間に、肯定的な影響への認識は横ばいとなっている一方、否定的な影響については減少していることが分かる。
●MeToo運動が個人の行動に与える影響
最後にMeToo運動が「私」に与えた影響についての調査があった。これも同様に肯定的な影響と否定的な影響に分かれている。
前者では、「うっかりでも性的なジョークや身体的な接触をすることに対し、神経を配り、気を付けるようになった」81%(80%)、「周囲でセクシャルハラスメントなどを目撃したり聞くならば、問題を提起したり助けを差し伸べる」74%(72%)、「その間、当たり前に思ったり問題意識を持たずに受け入れていた性役割に対し、自分の考えに問題があるかもしれないと思うようになった」65%(62%)だった。

後者では「些細な言動でも問題になることがあるため、性別の異なる同僚、親友または知人との対話や酒席を避けるようになった」39%(37%)、「業務や学業およびそれ以外の社会生活の中で、性別の異なる人物と協業することを避けるようになった」31%(30%)という結果だった。