
●民心は大きく政権批判に傾く
ソウル市では与党・共に民主党の朴映宣(パク・ヨンソン、61)候補が37.7%、最大野党・国民の力の呉世勲(オ・セフン、60)候補が59.0%と、21.3%ポイントの差で呉氏が上回った。
釜山市では共に民主党の金栄春(キム・ヨンチュン、59)33.0%、国民の力の朴亨埈(パク・ヒョンジュン、61)が64.0%と、31.0%ポイントの差で朴氏の勝利が有力だ。
1961年生まれの呉世勲氏は1990年代に人権弁護士として活躍し、テレビ番組の司会を務めるなど全国区の人気を得て、2000年に国会議員に当選。06年から2期連続でソウル市長に当選したが、2期目の11年8月に無償給食導入を問う住民投票が失敗(不成立)したことで自らの宣言に従い辞任した。今回、10年ぶりの本格的な政界復帰となる。
一方、1960年生まれの朴亨埈氏は社会学博士号を持つ学者出身だ。進歩派に分類される人物だったが、90年代に金泳三大統領陣営に合流し、2004年に保守のハンナラ党で国会議員となった。その後、李明博(イ・ミョンバク)大統領の引き継ぎ委員会に参加し、08年6月に青瓦台(大統領府)入り。09年9月から10年7月まで青瓦台政務主席となり、さらに14年9月から16年6月まで国会事務総長も務めた。

なお、出口調査の結果には4月2日、3日に行われた事前投票分(ソウル21.9%、釜山18.6%)は含まれていない。投票率は午後7時時点でソウル54.4%、釜山49.4%だった。開票はソウルでは8日午前4時ころに終わる見通しだ。
大差の背景には、不動産価格の高騰や住宅公社公務員の不正投機など発足から丸4年を控えた文政権の「失政」への審判心理がある。与党は「1〜3%差の接戦」をアピールしたが、民心は大きく政府批判に傾いた格好だ。
開票結果が出口調査と同じく大差での敗北となる場合、与党は指導部の進退問題を含め、立て直しを余儀なくされる。また、文在寅大統領の国政推進力の低下も免れず「レームダック」に陥る危険もある。
一方、国民の力は国政選挙4連敗から5年ぶりの脱出となり、来年3月の大統領選に弾みが付く。だが、組織が整備されているとはいえず、党内の主導権争いも表面化する見通しだ。いずれにせよ韓国は今後、本格的な「政治の季節」に突入することになる。