
●「合法的な活動に否定的な影響」…違法と規定する活動範囲の説明を要請
国連の複数の特別報告官たちが、韓国政府に対しいわゆる「対北朝鮮ビラ禁止法(正式名称は『南北関係発展に関する法律改正案』)」が表現の自由を侵害する可能性があるとして、憂慮を表明する書簡を送った。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は22日、ホームページを通じ今月19日に、アイリーン・カーン国連意見・表現の自由に関する特別報告官、トマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告官、メアリー・ローラー国連人権擁護者の状況に関する特別報告官が連名で、同法に対する韓国政府の立場を要請する書簡を送ったと明かした。
3人の報告官は書簡の中で「韓国内の表現の自由の権利を享有することと、一部民間団体と人権擁護者たちの合法的な活動に否定的な影響をもたらす可能性があることを憂慮する」とした。
同法は、南北軍事境界線の一帯での北朝鮮に向けた拡声器での放送、視覚媒介物の掲示、ビラなどの散布を行う場合に、3年以下の懲役または3000万ウォン(約290万円)以下の罰金を課す内容が中心となっている。3月30日から施行されている。
韓国政府は過去、北朝鮮が民間団体の散布されたビラに対し高射砲での射撃を行うなど武力で対応した前例があることから、接境地域(軍事境界線に近い地域)の住民の安全を保護するため、同法の改正を進めてきた。
報告官たちは前出の書簡で、「韓国政府が改正案の主要な目的を国境間(正確には‘国境’ではないが)の緊張緩和と接境地域の住民保護のためと一貫して説明してきた点に注目する」としながら、「改正案の曖昧な字句が拡大解釈される可能性があり、韓国内の一部の民間活動家政治的な表現と合法的な活動に対する過度の処罰につながり得る点を憂慮する」と指摘している。この場合には、‘表現の自由’と‘結社の自由’に反するというものだ。
報告官たちはこうした理由から、「私たちは改正案が結果として、過剰処罰の禁止原則を違反するものに見えるという意見である」と主張した。
その上で、韓国政府は改正案が国際人権法を遵守しているのかどうかに対する情報を提供し、特に改正案が「違法」と規定した活動の範囲について説明することを求めた。
なお、韓国のある市民団体は今月25日から来月1日までの間に、北朝鮮の三代世襲を批判する内容を含むビラを北朝鮮に向けて散布すると発表し、混乱が予想されている。