[全訳] 米韓首脳共同声明(2021年5月21日)
[全訳] 米韓首脳共同声明(2021年5月21日)
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.05.22 12:02
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5月21日(現地時間)、米国ワシントンで韓国の文在寅大統領と米国のバイデン大統領は首脳会談を行った。両大統領が会うのは初で、前任のトランプ大統領時代を含めると1年11か月ぶりに首脳会談となる。会談終了後に発表された米韓首脳共同宣言を全訳した。テキストは韓国青瓦台(大統領府)のものを参考にした。
21日(現地時間)、首脳会談を終え共同記者会見に臨む米韓首脳。青瓦台テレビより引用。
21日(現地時間)、首脳会談を終え共同記者会見に臨む米韓首脳。青瓦台テレビより引用。

●米韓首脳共同声明(2021年5月21日)

大韓民国とアメリカ合衆国間の同盟は約70年前、戦場で肩を並べて共に戦うことで堅固になった。共同の犠牲の下で結ばれた私たちのパートナーシップは、その後数十年間平和維持に寄与することで、両国および両国国民の繁栄を可能にした。安定と繁栄の核心軸である韓米同盟は、両国を取り巻く国際情勢の変化によって着実に進化してきた。インド−太平洋地域の安保環境がさらに複雑になり、新型コロナウイルスの大流行から気候変動の脅威に至る生存を脅かす問題によって世界が再編されている今、私たちは鉄のような同盟に対する公約を再確認する。

韓国と米国は、国内外で民主的規範、人権と法治の原則が支配する地域に対するビジョンを共有している。私たちは、地域および世界秩序の核心軸であり、両国国民の平和と繁栄が続くようにするパートナーシップを追求している。何よりも私たちは、新しい時代に私たちの関係に活力を吹き込み、時代に合わせていくという決意を共にしている。バイデン大統領は、両国間のパートナーシップの新たな幕を開いていくために、大韓民国の文在寅大統領をワシントンで迎えることを光栄に思う。

韓米同盟の新しいページを開く

文在寅大統領とバイデン大統領は、「韓米相互防衛条約」による韓国防衛と韓米連合防衛態勢に対する相互の公約を再確認して、バイデン大統領は、米国が可用なすべての力量を使用して拡張抑止を提供するという公約を確認した。私たちは同盟の抑制態勢の強化を約束し、合同軍事準備態勢の維持の重要性を共有し、条件に基づいた戦作権返還に対する確固たる意志を改めて強調した。私たちはまた、新たな脅威に対する効果的な共同対応を確保するため、サイバー、宇宙などその他の領域における協力を深めることとした。私たちは連合防衛態勢を向上させ、同盟に対する私たちの献身を示す、多年度の「防衛費分担特別協定」への署名を歓迎した。

双方は全世界的な非拡散と原子力安全、核安保、安全措置が保障された原子力技術の使用に関する諸般の事案に対して、緊密に協力することが同盟の核心的な徴表(印)であることを再確認した。米国は非拡散努力を増進することにおいて、韓国の国際的役割を評価した。韓国は米国との協議を経て、改正ミサイル指針の終了を発表し、両首脳はこのような決定を認めた。

文在寅大統領とバイデン大統領は、韓半島(朝鮮半島)の完全な非核化に対する共同の約束と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の核・弾道ミサイルプログラムを扱っていこうとする、双方の意志を強調した。私たちは北朝鮮を含む国際社会が国連安保理関連決議を完全に履行することを促した。文在寅大統領は韓国と米国の安保を向上させる実質的な進展に向けて、北朝鮮との外交が開かれていて、これを模索するという、精巧で実用的なアプローチを取る米国の対北朝鮮政策検討が完了したことを歓迎した。

私たちはまた、2018年の板門店宣言とシンガポール共同声明など既存の南北間、米朝間の約束に基づいた外交と対話が、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着を成し遂げることに欠かせないという共同の信頼を再確認した。バイデン大統領はまた、南北対話と関与、協力に対する支持を表明した。

私たちは北朝鮮の人権状況を改善するために協力することに同意し、最も支援を必要とする北朝鮮住民に対する人道的支援の提供を引き続き促進することを約束した。 私たちはまた、南北離散家族再会の促進を支援するという双方の意志を共有した。 私たちはまた、私たちの対北朝鮮アプローチが完全に一致するよう調整していくことに合意した。私たちは北朝鮮問題を扱い、私たちの共同安保と繁栄を守護し、共同の価値を支持し、規範に基づいた秩序を強化するため、韓米日3国協力の根本的な重要性を強調した。

韓米関係の重要性は、朝鮮半島をはるかに越えるものであり、私たちの共同の価値に基づいており、インド−太平洋地域に対する私たち各自のアプローチに基盤を置いている。私たちは韓国の新南方政策とアメリカの自由で開放的なインド−太平洋構想を連携させるために協力し、両国が安全で繁栄し、躍動的な地域を造成するために協力することにした。韓国と米国はASEANの中心性とASEANが主導する地域構造に対する支持を再確認した。私たちは法の執行、サイバー安保、公衆保健、環境回復増進に関する域内協力を拡大することにした。

私たちは韓国、米国、東南アジア地域の国民の間のさらなる絆を深める一方、ASEAN内での連携性の増進とデジタル革新を促進するため緊密に協力することとした。私たちはまた、メコン地域の持続可能な開発、エネルギー安保および責任ある水資源の管理を増進するため、共に努力していく方策を模索していく。韓国と米国はまた、太平洋の島嶼国家との協力強化に対する支持を再確認し、QUADなど開放的かつ透明で包容的な地域多者主義の重要性を認識した。

韓国と米国は規範に基づいた国際秩序を阻害、不安定または脅かすあらゆる行為に反対し、包容的かつ自由で開放的なインド−太平洋地域を維持することを約束した。私たちは南シナ海およびその他の地域において、平和と安定、合法的かつ妨害されない商業および航行・上空飛行の自由を含む国際法の尊重を維持することを約束した。バイデン大統領と文在寅大統領は、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調した。多元主義と個人の自由を重視する民主主義国家として、私たちは国内外で人権および法治を増進する意志を共有した。

私たちはミャンマー軍警による民間人に対する暴力を決然と糾弾し、暴力の即時中断、拘禁者の釈放および民主主義への早急な復帰のため圧迫してくことを約束した。私たちはすべての国がミャンマーの国民たちに安全な避難所を提供し、ミャンマーへの武器販売禁止に参加することを求めた。

より良い未来に向けた包括的協力

文在寅大統領とバイデン大統領は、今の時代の脅威と挑戦課題のため、新たな分野でも両国間のパートナーシップの強化が必要だという点を認識した。私たちは気候、グローバル保健、5G及び6G技術と半導体を含む新興技術、供給網の回復力、移住および開発、私たちの人的交流において新たなつながりを形成することを約束した。

文在寅大統領は2021年4月22日、気候首脳会議の主催を通じ、グローバル気候目標を引き上げようとした米国のリーダーシップを歓迎した。バイデン大統領は韓国が5月30日と31日にP4Gソウル首脳会議を主催することで、包容的かつ国際的な環境回復および温室効果ガスの純排出ゼロの達成に貢献することを期待している。米国は引き上げられた国別温室効果ガス削減目標(NDC)を提出し、韓国が地球平均気温上昇1.5度に制限するための努力と、グローバル2050温室効果ガス純排出ゼロ達成目標にも合致するよう引き上げられた暫定2030NDCを10月初旬頃に発表し、目標を引き上げた最終NDCをCOP26まで発表するという計画を歓迎した。

私たちは2030NDC及び長期戦略など2050年の炭素中立目標の達成に向けて協力し、炭素排出を削減する上で世界の指導者の間で模範事例を提示する一方、海洋、森林などの天然炭素吸収源を保存・強化し、両国の長期目標達成に貢献できるよう技術・革新分野において何よりも必須の協力を拡大する。

文在寅大統領による海外石炭発電、新規公的金融支援の中断宣言と、バイデン大統領による気候危機に対応するための行政命令を基に、韓国と米国は低減されていない海外の石炭発電所に対するすべての形態の新規公的金融支援を中断するため、経済協力開発機構(OECD)やその他の国際協議の機会に協力する。

韓米両国は2050年までに、グローバル温室効果ガス純排出制の達成および2020年代内の温室効果ガス排出量の大幅削減を達成するために、国際的な金融支援をこれに合致させていく。韓国はパリ協定下の新規Post−2025動員目標のための気候財源供与に関し、米国や他国の努力に参加することを期待する。

韓国と米国はこれまで、新型コロナウイルスの大流行と長年のグローバル保健分野の挑戦課題において核心的な同盟国だった。バイデン大統領は米国が核心的な医療物資を緊急に必要としていた当時、韓国がこれを寄付したことに対する謝意を表した。このような背景から、私たちは科学・技術協力、生産および関連材料のグローバル拡大など、重点部門を含む国際ワクチン協力を通じ、伝染病に共同対応する力量を強化するため、包括的な韓米グローバルワクチンパートナーシップを構築することに合意した。

韓国と米国は各国の長所を発揮し、国際的な利益のために厳格な規制当局または世界保健機関によって評価を受け、安全で効果的であることが立証されたワクチン生産の拡大に向けて協力していく。韓国と米国は安全で効果的な新型コロナワクチンの需要増加を適時に満たすためのパートナーになるだろう。同パートナーシップを基盤に、私たちは近い将来、伝染病の大流行を終息させ、今後の生物学的脅威に備えるため、コバックス(COVAX)および感染病革新連合(CEPI)との調整などを含め、全世界の国々に対するグローバル新型コロナワクチン供給を大幅に拡大することに積極的に協力していく。

このために、私たちはパートナーシップ履行を目的に、科学者、専門家および両国政府の公務員で構成された高官級専門家グループ「韓米グローバルワクチンパートナーシップ専門家グループ」を発足させる。両国はCOVAXの成功を保障するため積極的に協力し、韓国は今年40億ドルの貢献をした米国の大胆な決定を評価した。このため、そして韓米両国がコロナ対応を共に先導していることに鑑み、韓国はCOVAX AMCに対する貢献の約束を、今年中に相当水準引き上げるだろう。

私たちは世界保健機関(WHO)の潜在的な保健危機に対する早期の効果的な予防・診断・対応を通じたパンデミック防止能力を強化し、透明性を増進し、独立性を保障することで、世界保健機関を強化し改革することに協力することにした。私たちはまた、新型コロナウイルス発病の起源に対する透明かつ独立的な評価・分析および将来発病する起源不明の流行病に対する調査も支援する。

私たちは、インド−太平洋地域における伝染病大流行に対する準備態勢の改善を支援するために、果敢な措置を取ることを決議し、すべての国が伝染病の予防・診断・対応力を構築していくよう共に、そして多者的に協力していく。このような目標に向け進むため、韓国はグローバル保健安保構想先導グループ(GHSA Steering Committee)および行動計画ワーキンググループ(Action Package Working Groups)への関与を拡大し、GHSAの目標を支持し、協力国間の格差解消を支援するため、2021−2025年の期間の間、2億ドルの新規公約を約束する。また、韓国と米国は持続可能で触媒の役割を果たす新しい保健安保ファイナンスメカニズムの創設に向け、類似した立場の国々と協力する。

韓国と米国は互いに最大の貿易・投資パートナー国のうちの一つであり、特に韓米自由貿易協定(KORUS FTA)など強力な経済的なつながりは堅固な基盤となっている。 両首脳は世界貿易機関(WTO)改革に向けて緊密に協力していくことにし、不公正な貿易の慣行に反対するという共同の決意を表明した。

技術環境の急速な変化に伴い、私たちは共同の安保・繁栄の増進のため核心・新興技術分野におけるパートナーシップを強化することに合意した。私たちは海外投資に対する綿密な審査と核心技術の輸出統制に関連する協力の重要性に同意した。文在寅大統領とバイデン大統領は移動通信セキュリティと供給業者の多様性が重要であることを認識し、Open-RAN技術を活用し、開放的で透明かつ効率的で開放された5G、6Gネットワーク構造を開発するために協力することを約束した。このために、私たちは半導体、親環境EVバッテリー、戦略・核心原料、医薬品などの優先順位部門を含め、私たちの供給網内の回復力向上のため協力することにした。

また、私たちは相互投資の増大の促進および研究開発協力を通じて、自動車用のレガシー半導体チップのグローバル供給を拡大し、両国内の最先端半導体製造を支援するために協力することに合意した。文在寅大統領とバイデン大統領は、次世代バッテリー、水素エネルギー、炭素回収・貯留(CCS)などのような清浄エネルギー分野および人工知能(AI)、5G、次世代移動通信(6G)、Open-RAN技術、量子技術、バイオ技術などの新興技術分野で革新を主導することで、未来志向的なパートナーシップを発展させていくために協力することを約束した。

また、文在寅大統領とバイデン大統領は、民間の宇宙探査、科学、航空研究分野でパートナーシップを強化することに約束して、韓国のアルテミス約定(Artemis Accords)署名を向けて協力していく。また、韓国は国際原子力安全、核安全保障、不拡散に対する最も高い基準を保障する中で、原発事業の共同参加を含む海外原発市場内での協力を発展させていくことを約束した。

文在寅大統領とバイデン大統領は、韓米間の開発協力関係を強化できるチャンスを歓迎する。私たちは、米国国際開発局と韓国国際協力団の間のより緊密な協力促進のために、私たちのパートナーシップを拡大したことをうれしく思う。私たちはまた、中米北部の三角地帯の国家から米国への移住問題の根本原因を解決することが重要であることを認識した。このため、韓国は2021~2024年の間に中米北部の三角地帯の国家との開発協力に対する財政的貢献を2.2億ドルに増やすことを約束した。また、米国はラテンアメリカ・カリブ海地域の国々とデジタル・グリーン(環境)協力など協力を拡大するという韓国のイニシアティブを歓迎した。

韓米両国の持続的な友情は、両国間の活発な人的なつながりを通じてさらに強化されている。1955年以降、170万人以上の韓国の学生たちが米国の教育機関に入学した。 200万人以上の韓国の市民たちが米国を訪問、または米国に勤務もしくは居住しており、20万人以上の米国市民たちが韓国に居住している。韓国の政治指導者を含む1万人以上の韓米両国市民たちが後援交換プログラムに参加してきた。

私たちは第1期韓米フルブライト奨学生の相手国訪問が60周年を迎えたことに、大きな自負心を感じる。これは、韓米両国の国民間の長いつながりの深さと力を示している。韓米間の幅広い交換プログラムは両国の共同の目標達成を促進する。私たちは環境など核心的な分野で両国間の協力力量を強化するため、青年環境指導者間の双方向の交流を拡大することに合意した。さらに、私たちは韓米両国に安定的で持続可能な革新と経済的回復力の堅固な基盤を構築するため、科学・技術・工学・数学分野における専門家間の交流拡大を支援し、女性の力を増進する上で特別な重要性を与える。

文在寅大統領とバイデン大統領はまた、国内外で民主的価値と人権増進に向けた努力を培うことにした。私たち民主主義国家の力は女性たちの最大の参加に基づく。私たちは家庭内暴力やオンライン搾取などを含む、女性と少女に対する虐待を終息させ、両国で問題となっている性別による賃金格差を縮めるためのモデルケースを交換するために努力する。私たちは腐敗の撲滅、表現・宗教・信念の自由を保障するための協力を拡大することにした。

最後に、私たちはアジア系米国人および太平洋島嶼国共同体に対する暴力への糾弾に参加し、韓国系米国人を含むすべての米国人が尊厳のある、尊重される待遇を受けられるよう協力していくことを約束する。

国際的な難題と、激変するグローバル環境の下で、文在寅大統領とバイデン大統領は韓国、米国および世界が直面した阻害要因を認識している。私たちは、韓米間の協力を通じて、韓米同盟が国際的な役割を拡大することで、重大な挑戦に対処できるようにすることを認識する。私たちの同盟は互恵性と躍動性をベースに70年以上変わらない国力の源泉となってきた。私たちは、韓米同盟が今後数十年間にわたりこれを維持できるよう、緊密に協力していくことを期待する。文在寅大統領は、バイデン大統領の暖かい歓待に謝意を表して、バイデン大統領の訪韓を招請した。
 


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