[全訳]民族自存と統一繁栄のための大統領特別宣言(7.7宣言、1988年7月7日盧泰愚大統領)
[全訳]民族自存と統一繁栄のための大統領特別宣言(7.7宣言、1988年7月7日盧泰愚大統領)
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.11.01 12:30
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1987年6月の韓国民主化後はじめて行われた同年12月の大統領選挙で当選した盧泰愚(ノ・テウ)氏は翌88年7月、南北関係改善の大きな原則を示す特別宣言『民族自存と統一繁栄のための大統領特別宣言』を発表する。

発表された日付にちなみ『7.7宣言』と呼ばれるこの宣言は、盧泰愚政権下での「北方外交」として具体化する。東西冷戦の終結という国際的な転換期の中、南北は高位級会談を重ねていく。

そして南北国連同時加入(91年9月)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係を「双方の間の関係が国と国の間の関係ではなく統一を指向する過程で暫定的に形成される特殊関係」と定めた『南北基本合意書』(91年12月)の締結という成果を残す。

一方でこれは、北朝鮮にとって外交上の「敗北」に他ならなかった。こうした南北の力関係の確定はその後の『包容政策(太陽政策)』につながっていく。
盧泰愚(ノ・テウ)大統領。大統領記録館提供。
盧泰愚(ノ・テウ)大統領。大統領記録館提供。

●民族自存と統一繁栄のための大統領特別宣言

親愛なる6千万の同胞の皆さん、私は今日、すべての同胞の念願である祖国の平和的な統一を実現していくための、新しい共和国の政策を明らかにしようと思います。

わが民族が南北分断の苦痛を受け続けて半世紀近くになります。
分断の歴史はわが民族に多くの試練と苦難を与え、民族の正常な発展を妨げてきました。

南北分断の壁を取り壊し、繁栄した統一祖国を開く道を開拓することこそ、今日を生きるわが民族すべてに委ねられた民族史の使命と言わざるを得ません。

異なる理念と体制として分断された南北は同族相残の戦争をたたかい、南北に分かれた同胞は分断のその日から今日まで互いが互いを不信・誹謗し、互いを敵視する苦しい分断の状況から抜け出せずにいます。

南北分断は、わが民族の意思によるものではありませんでしたが、民族の統合は私たちの責任の下、私たちの自主的な力量で成し遂げなければなりません。

私たちは南北間に和解と協力の明るい時代を、共に切り開かなければなりません。
これからは民族全体の福祉と繁栄のために、共に努力する時です。

今日、世界は理念と体制を超越し、和解と協力の時代に進んでいます。
互いに文化と歴史が異なる民族の間にも、果敢な開放と交流の新しい波があふれ出しています。

私は今こそ、戦争の危険と対決の緊張が共に存在する韓半島に平和を定着させ、統一の新たな転機を築くべき歴史的な時点であると確信しております。

同胞の皆さん、

私たちが未だ悲劇的な分断の現実を克服できずにいる根本的な理由は、南と北が民族共同体という意識に背を向けたまま、互いを対決の相手と見なし敵対関係を激化させてきたことにあります。

わが民族は一つの共同体としてその中で暮らしを営み、民族の力と知恵を合わせ、試練と挑戦を克服しながら、輝かしい歴史と文化の伝統を創造してきました。

したがって、南と北が共に繁栄を成し遂げる民族共同体として関係を発展させていくことこそ、統一祖国を実現する近道といえます。
この道がすなわち、民族自存の道であり、民族統合の道です。

これから南と北は分断の壁を取り壊し、すべての部門にわたって交流を実現していかなければなりません。

相互の信頼を回復し、民族的な絆を強めていく積極的な措置を取っていかなければなりません。

また、対外的にも一つの共同体だという認識に基づいて、対決の関係を止揚しなければなりません。

北韓が責任ある成員として国際社会に寄与し、それが北韓社会の開放と発展を促進するようになることを望みます。

国際社会において南北は互いの位置を認め合い、民族全体の利益のために協力しなければなりません。

私は今日、自主・平和・民主・福祉の原則に立脚し、民族の構成員全体が参加する社会・文化・経済・政治共同体を築き上げることにより、民族の自尊と統一繁栄の新しい時代を切り開くことを約束しながら、次のような政策を推進していくことを内外に宣言いたします。

1. 政治家・経済人・言論人・宗教人・文化−芸術人・学者・体育人および学生など、南北同胞間の相互交流を積極的に推進し、海外同胞が自由に南北を往来できるよう門戸を開放する。

2. 南北赤十字会談が妥結する以前でも、人道主義的な見地から可能なすべての方法を通じ、離散家族間の生死・住所確認・書信往来・相互訪問などができるよう、積極的に取り持ち、支援する。

3. 南北間の交易の門戸を開放し、南北間の交易を民族内部の交易とみなす。

4. 南北のすべての同胞の暮らしの質を向上させられるよう、民族経済の均衡的な発展が実現することを望み、非軍事的な物資に対し、韓国の友邦が北韓と交易を行うことに反対しない。

5. 南北間の消耗的な競争・対決外交を終結し、北韓が国際社会に発展的に寄与できるように協力し、また、南北代表が国際舞台で自由に会い、民族の共同利益のために互いに協力することを希望する。

6. 韓半島の平和を定着させる与件(環境)を造成するために、北韓が米国・日本など韓国の友邦との関係を改善することに協力する用意があり、また、私たち(韓国)はソ連・中国をはじめとする社会主義国家との関係改善を追求する。

私は、以上のような私たちの措置に対し、北韓側も積極的に応えてくれることを望みます。

北韓側がこれに対し肯定的な姿勢を見せてくれるならば、より前進的な措置を取っていくことを合わせて明らかにします。

私は今日のこの宣言が、統一に向かう南北間の関係発展に新たな章を開くきっかけになることを願います。

6千万のわが同胞すべてが知恵と力を結集するならば、この世紀が過ぎる前に、南と北は一つの社会的・文化的・経済的な共同体として統合されるでしょう。

このような土台の上で、私たちは遠くないうちに一つの国として統一する偉業を達成できると確信します。

1988年7月7日
第13代 大統領 盧泰愚