（1）李在明（共に民主党）

与党・共に民主党の李在明（イ・ジェミョン、57）候補は29日午後、韓国社会保障情報院を訪問した。

李代表はこの席で、韓国が経済水準で世界10位を達成した点に触れつつ、「これからは福祉の部門でも先進国の一団に入れるよう努力すべき」と述べた。

また、「国民所得に比べ支出規模が小さく、世界的に見て自殺者が多い惨憺たる現実を必ず変えるべき。労働分野でも同様に、世界で最も高い水準の長時間労働が行われている点も克服すべき課題だ」と主張した。

そして、「来年3月9日（大統領選投票日）は、重要な歴史の分岐点になる。過去に戻るのか未来に進むのか、無能な報復に向かうのか有能に国民の未来を作っていくのか、こうした点から民主改革陣営がただ国民、ただ国家という思い一つで、必ず勝たなければならないと考える」と語った。

なお、訪問時には李洛淵（イ・ナギョン）同党前代表も同行し、「ワンチーム」として党内が結束していることを強調したかたちだ。

一方この日、共に民主党は「前へ、しっかりと。‘私のために’李在明」という新たなスローガンを公開した。

（2）尹錫悦（国民の力）

最大野党・国民の力の尹錫悦（ユン・ソギョル、61）候補は29日から、保守の牙城である大邱（テグ）市、慶尚北道（キョンサンプクト）のいわゆる「TK地域」の訪問を始めた。背景には、世論調査支持率で李在明候補の逆転を許した中、支持層の結束をはかる狙いがあると見られる。

尹候補はこの日午後、慶尚北道の安東（アンドン）市内で、慶尚北道選挙対策委員会の発足式に参加した。

韓国メディア『京郷新聞』によるとこの席で尹候補は、「権威主義の独裁政府は韓国経済をしっかりと生き返らせ産業化の基盤を作ったが、今の政府は何をしているのか。無学な三流の馬鹿どもを連れてきて政治を行い、国の経済・外交・安全保障すべてを台無しにした。無能を越えて、過去の権威主義の独裁政府がやっている（民間人への）査察まで行った」と文在寅政権を強く批判した。

尹候補はまた、「経済、コロナ危機がある中で、安全保障が国のアイデンティティであり、最も大きな問題だ」とし、「門を開こうとしているのかと心配になるし、いったい自由民主主義を守ろうとするのか、この国を社会主義にしていこうというのか、国民たちはまだこの政権（文政権）の正確をしっかり理解できていない」と述べた。

その上で、李在明候補が過去、城南（ソンナム）市長時代に開発が始まった大庄洞（テジャンドン）地域に関し、特定の会社や個人に莫大な利益が還元されている問題を検察が捜査する過程で2人の関係者が自殺した点を取り上げ、「検察が圧迫したのか、民主党が圧迫したのか」と李候補を非難した。

その上で尹候補は、「今回の選挙は保守と進歩の闘いではなく、自由民主主義という正義と、不正腐敗という不義との闘いであり国民の審判だ」と強調した。

（3）沈相奵（正義党）

第二野党・正義党の沈相奵（シム・サンジョン、62）候補は29日午前、国会で保健医療分野の公約を発表した。

「沈相奵ケア」と名付けられた公約を発表する際、沈候補は「沈相奵ケアは『文在寅ケア』の限界を超える、韓国初の『市民の健康権』を具現するプロジェクト」と述べた。

その上で、（1）国民健康保険だけで、年間の病院代負担を100万ウォン（約10万円）を上限とする、（2）全国民が主治医を持つ制度の導入、（3）「先保障−後評価」を中心とするワンストップ労災保険という3つの公約を掲げた。

（4）安哲秀（国民の党）

第三野党・国民の党の安哲秀（アン・チョルス、62）候補は29日晩、ソウル市内の繁華街を訪れ、市民と交流した。

韓国メディアによると安候補はこの際に、「『本当に嫌いな陣営が大統領にならないようにするためには、私たちに投票すべき』と、なんの努力もせず政権を取ったあとに、また積弊になる」と、巨大両党の間で権力がやり取りされてきた韓国政治のメカニズムを指摘した。

安候補はまた、「こうした政権交替は真の政権交替ではなく、積弊交替だ」とし、「真の政権交替はより良い韓国を作るというもので、私が適任者と確信する」と述べた。

なお、安哲秀候補は最近の世論調査で支持率の伸びが顕著だ。12月中旬までは3％だった支持率が、じわじわと上がり最新の調査では9.3％となったものもある。背景には尹錫悦候補に向かうはずだった票が流れたという分析があるが、今後、キャスティングボートとしての注目が集まることが予想される。

（5）金東兗（新しい波）

新党・新しい波の金東兗（キム・ドンヨン、64）候補は29日午前、ソウル市内で同党の最高委員会議に出席した。

また、同陣営によると、韓国メディア2社とインタビューをこなした。

徐台教(ソ・テギョ) 記者 他の記事